トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(埼玉)
2016/07/26

【埼玉】埼玉建築設計監理協会が熊本地震被害報告会

 埼玉建築設計監理協会(田中芳樹会長)は22日、熊本地震被害報告会として前回のS造に引き続き、RC・SRC造の建物における損傷の理由を探った。講師は工学院大学客員研究員の周建東氏と、既存建築物耐震性能判定委員で日本大学理工学部建築学科講師の清水泰氏。新耐震建物16棟の調査結果や、早期復旧・復興に向けた応急危険度判定と被災度区分判定について、また部材の耐震性能低減係数などを確認。復旧・復興体制のあり方などを学んだ。
 田中会長は「現地調査の結果を受け、どう対応したらいいかということを含めてお話しを伺えると思います。協会でも先駆けて既存建物耐震判定について大学の先生方に我々の持っていない部分を教えていただきながら進め、大きな評価を得たということもありますが、熊本地震が起きた中で、対応だけでなく予防という意味からも良い研修になればと思っています。これを機会に自分たちの設計に役立てていただきたい」とあいさつ。
 周氏は「熊本地震の概要および被害状況」について、まずは内閣府、消防庁、経済産業省からの発表をもとに話しを進め、実際に現地に入った様子を伝えた。プロジェクターに映し出される写真はどれも被害の大きさを物語り、ピロティ階や1階が崩壊したマンションや病院をはじめ、結合部が破壊された宇土市庁舎、重要文化財、計測震度7の地域の住宅などについて壊れた理由を解析。
  また外付けフレームによる補強で崩壊を免れた町役場、ブレースの引っ張りで多少のひびが入ったものの、被害を最小限に抑えた補強済みの学校校舎18棟の状況なども解説された。
 今回は新耐震建物16棟を調査し、危険は7棟、要注意は2棟。非構造部材の損傷が目立ち、エキスパンションジョイント(Exp.j)の衝突が多かった。一部の柱・梁・耐震壁がひび割れ、ひび割れ幅は0・2から0・4mmと報告された。
 引き続き清水氏は「被害マンションと災害度区分判定の概要」について解説。市町村が震災直後の応急対策として実施する応急危険度判定による危険、要注意、調査済の区分判定内容や、罹災証明書の交付、地震保険制度について説明。
 熊本地震では役所主導でボランティアの判定士約10万2000人が活動。人命に関わる2次災害を防止するため、何より緊急性・暫定性をメインに任務にあたることの重要性が述べられた。
 震災復旧の手順は、発災直後の第1段階が応急危険度判定、混乱が落ち着いた第2段階に被災度区分判定を行い、安定時に復旧計画を立て、工事にあたることになる。清水氏は「震災復旧にあたっては建物がしっかりとして復興が一気に進む。そこに行き着くまでしっかりやらなければいけない」とし、震災建築物の被災度区分判定の重要性を説明した。