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北陸工業新聞社
2016/08/09

【石川】「天下の書府」レガシーとなる建築を/新県立図書館基本構想検討委/委員長に植松氏、年度内策定へ

 新石川県立図書館基本構想検討委員会の初会合が8日、県庁に委員10人のほか、谷本正憲知事らが出席して開催された。委員長には植松貞夫跡見学園女子大学文学部教授が就いた。
 冒頭のあいさつで、谷本知事は現在の県立図書館について、「今から約50年前、昭和41年5月に建設され、全国で4番目に古い。老朽、狭隘化が著しいことに加え、耐震基準を満たしていない。蔵書数、駐車台数等も全国の県立図書館と比較して大変見劣りする状況だ」とし、これを踏まえ、県の新たな長期構想の中に「本県の中核図書館として機能や施設の充実を図るために十分な敷地面積が見込め、県内全域からのアクセスが良好な金沢大学工学部跡地に移転、建替を明記した」と説明。加えて、加賀は天下の書府と言われた土地柄でもあり、「新たな県立図書館は石川らしい伝統を受け継ぎながら、今後長きにわたり図書や資料の利活用を通じて多様な県民ニーズにしっかり応え、たくさん利用して頂けるような「知の拠点」を目指す。公文書館、生涯学習機能の併設も併せて検討している」などと述べた。
 会合では、植松委員長が「建築から見た図書館」、田村俊作委員(慶應義塾大名誉教授)が「公立図書館の動向」について、それぞれ事例を挙げながら紹介。事務局側は石川県立図書館の沿革と現状、金大工学部跡地の状況を説明し、意見を交わした。委員からは「県立図書館には明治以降の貴重な郷土資料などが多くあり、研究者以外も資料を生かせる手法を考えるべき」、「ハイブリッドライブラリーなど、近未来への視点も検討すべき」、「県内には有名な建築家の作品も多く、未来のレガシーとなるような建築物を期待する」などの意見が出された。
 県では今年度、新図書館の整備指針となる基本構想を策定する方針で、年度内に計4回開く同検討委員会での意見等を反映させていく。次回の委員会は10〜11月頃に開催予定としている。
 なお、金大工学部跡地では県が県立図書館、金沢市が金沢美術工芸大学をそれぞれ移転、整備する。金沢外環状道路(山側環状道路)から利用しやすくするため、県道芝原石引町線と県道金沢湯涌福光線(小立野通り)を結ぶアクセス道路も工学部跡中央付近に新設。県はアクセス道路北側の約3・4ヘクタール、市が南側約4・7ヘクタールを取得することで合意に達している。

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