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北陸工業新聞社
2016/08/29

【石川】公的役割(先端大)、民間資金(金大)など/体育施設整備へ知恵絞る大学

 石川県内の国立大学法人である北陸先端科学技術大学院大学(能美市)や金沢大学(金沢市)において、体育施設整備を実現しようと、大学や地元自治体らが知恵を絞っている。体育施設は教育や研究に関係する施設に比べて文部科学省の予算がつきにくく、大学や自治体では施設整備にあたり公的な要素を持たせたり、民間資金を活用することで打開を図る。
 「地域とのコミュニティの場としての活用や万が一の避難所というような性格ならば事業化が可能であろう」―。7月31日に金沢市内のホテルで開かれた谷本正憲知事と県関係国会議員との県政懇談会において、財務省の岡田直樹副大臣(当時)は、県が要望した北陸先端科学技術大学院大学の屋内運動場(体育館)に関し、同省担当者との感触を紹介した。
 大学院大学ではそもそも体育授業がないため、体育館は全国的にもまれとされるが、県、能美市では17年度国家予算編成に係る重点事業・政策提案に盛り込み、整備を目指す。地元能美市では体育館について「大学と地域の交流促進および避難施設としての役割を担う」と意義を強調。大学院大学でもキャンパス南側の高台に位置し、ほとんど使用されていない第2駐車場を建設地として確保するなど準備を整えている。
 県政懇談会では馳浩文部科学大臣(当時)が「大学の方から予算要望重点項目の1番目に挙げて頂ければ間違いなく対応するよう、(文科省の)担当者に話をしてある」と明かすなど予算化の可能性はかなり高そうだ。
 一方、金沢大学は、雑草が生い茂り荒れた状態のサッカー場および陸上競技場のフィールド部分の再整備に独自の手法で取り組むことにしている。
 同大ではこのほど、星稜高校出身でプロサッカーの本田圭佑選手のプロデュースやスポーツ事業の企画などを手掛ける「HONDA ESTILO(ホンダエスティーロ)」(大阪市)、金沢市の3者で「金沢大学スポーツ・地域活性化プロジェクト」について基本合意した。
 同プロジェクトは、スポーツ活動による▽グローバル人材の育成▽青少年教育▽地域社会への貢献―を目的としており、この趣旨に賛同する民間企業から資金を調達し、既設のサッカー場(公式1面と少年サッカー場1面がとれる広さ)および陸上競技場のフィールドを人工芝へ改修したり、新たにクラブハウス、照明灯の設置を目指している。資金調達が順調に進めば年内にも工事に着手したい考えだ。
 再整備後は、学内での利用はもとより、スポーツ教室などで地域へ開放する。大学側は民間資金により良質な施設整備が実現でき、金沢市はスポーツ活動を通じたまちづくりに役立つと期待している。
 なお、ホンダエスティーロは、関西や関東、九州でサッカースクールを開催したり、アスリートのマネジメント、コンサルティング、千葉市の幕張新都心に保有するサッカー場のレンタル事業など新たなスポーツビジネスを展開している。

hokuriku