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日刊建設タイムズ社
2016/09/02

【千葉】「くしの歯作戦」で道路啓開/候補路線の国道297号/県土整備部震災訓練 

 「2016年度県土整備部震災訓練」が防災の日の1日、県土整備部震災対策組織と各建設業団体らとの合同訓練として、県庁と県内出先機関の震災想定現場で行われ、総勢約1300人が参加。震災時における県県土整備部の防災活動の円滑な実施に加え、(一社)千葉県建設業協会及び各支部、(一社)千葉県電業協会、(公社)千葉県測量設計業協会らとの業務協定に基づく協力体制の一層の充実を図ることが目的。震度6弱を想定した山武・長生・夷隅地域のうち、今回、新たに千葉県版「くしの歯作戦」に基づく道路啓開訓練を実施。同候補路線の国道297号に隣接する道の駅「たけゆらの里おおたき」の駐車場において、レッカー車と車両移動用ジャッキを用いた人力移動などを行い、交通機能の確保までの流れをシミュレーション。その訓練状況を国土交通省の衛星中継により、県庁・震災対策会議事務局の衛星テレビで確認した。

  ◆「今後30年間で85%」の重み

  想定地震発生時間は午前7時30分。千葉県東方沖を震源とするマグニチュード6・8の地震が発生。山武・長生・夷隅地域で震度6弱、その他の県内地域で震度5強、九十九里沿岸部では津波が発生したことを想定した。訓練項目は、想定地震発生後の道路橋梁施設、河川海岸施設、港湾施設、ダム施設、下水道施設及び公園施設等の点検訓練と、点検結果に関する情報伝達訓練を「震災時における県土整備部の対応計画」(公共土木施設編)及び「県土整備部震災実働マニュアル」(公共土木施設編)に基づいて実施。
  訓練では、県庁中庁舎4階の県土整備部会議室に設置した「震災対策会議事務局」と27の出先機関による「現地震災対策班」が、午前8時30分に初動職員を参集するとともに事務局を設置。同45分から震災対策会議事務局が情報収集、被害状況表・個所図作成、対策会議用資料作成(被害状況の整理)に着手する一方、現地震災対策班では、職員等参集状況や被害状況等を収集・報告し、震災対策会議事務局と情報交換した。
  現地震災対策班では、併行してパトロールの実施や応急対策を検討し、建設業協会・電業協会・測量設計業協会らと協働で、パトロールの実施や応急措置など、各事務所で作成する想定訓練企画書に基づく訓練を実施。一昨々年からは、大規模災害を想定した国等への支援要請として、具体的に緊急災害対策派遣隊や災害対策用機械の派遣などのシミュレーションを追加した。
  県土整備部震災対策会議事務局では、現地震災対策班からの被害状況情報を収集し「被害報告第一報」を取りまとめ、10時20分に指導班長から震災対策会議に報告。県土整備部長室に設置した「県土整備部震災対策会議」には、吉田行伸・災害・建設業担当部長を議長に、次長らの副議長、議長補佐のほか、各課長で構成する委員の総勢25人が参集した。

  ◆適切な初動対応と関係機関体制強化

  震災対策会議事務局からの第一報に先立ち、委員らを前にあいさつした吉田議長は、4月の熊本地震の記憶も新しい中、昨夜再び、熊本地方に震度5弱の地震が発生したことに言及。「こうした災害を念頭に置いた本日の県土整備部震災対応訓練には2つの目的がある」と述べ、1つ目として「大規模地震が千葉県で発生した際に、適切な初動対応がとれるように訓練すること」を強調。政府の調査委員会が発表した全国地震動予測地図によると、今後30年間で震度6弱以上の地震が起きる確率は、県都千葉市で都道府県庁所在地で全国1位の85%とされることについて「大規模地震は千葉県でいつ起きてもおかしくない状況にある」と指摘し、緊張感をみなぎらせた。
  また、2つ目として「災害から県民を守るにあたり、日頃から連携を密にしている関係機関との間で、突然の大規模災害に対応できる体制強化を図ること」を強調。県行政への指導支援を仰ぐ国土交通省をはじめ、官民一体で災害に強い県土づくりを推進し「災害時にはいち早く現場に駆けつけて、復旧作業をして頂いている(一社)千葉県建設業協会などと共同で訓練を行う」というもの。
  さらに、今回の訓練の新たな試みとして、昨年策定した千葉県版「くしの歯作戦」を踏まえた道路啓開訓練の実施に言及。津波被災地へ最短で向かう道路啓開路線のうち、国道297号の道の駅において、放置車両の移動と合わせて、倒壊した照明灯の撤去を建設業協会夷隅支部、レッカー事業協同組合、電業協会などと共同でシミュレーションを行うことを説明。「本日の訓練が地震災害に対する備えを強化し、被害の軽減に資することを祈念する」と述べ、あいさつとした。k_times_comをフォローしましょう
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