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北海道建設新聞社
2016/09/21

【北海道】道内地価、下落幅が6年連続縮小−上昇、横ばい地点増える 

 道は20日、2016年7月1日時点の道内基準地価を発表した。林地を除く宅地等1093地点の全道平均変動率は、マイナス1.5%で25年連続の下落になったが、前年度に比べて0.5ポイント改善し、下落幅は6年連続で縮小した。札幌市の地価上昇継続や、長年の下落による値頃感の醸成などを背景に、上昇と横ばいの地点数が増えている。札幌市では、訪日外国人観光客の増加に対応したホテル需要の高まりも押し上げ要因になっている。釧路市の商業地は25年ぶり、帯広市の住宅地は18年ぶりに平均変動率がそれぞれプラスになった。
 道内の調査地点数は1120地点で、住宅地798地点、宅地見込み地5地点、商業地271地点、工業地19地点、林地27地点の内訳。
 1m²当たりの全道平均価格は宅地等で2万9200円。住宅地は1万8300円で、平均変動率がマイナス1.7%となり、19年連続で下落したが、0.2ポイント上昇した。6万2800円の商業地はマイナス1%で、25年連続の下落。下落幅は1.1ポイント上昇した。
 地価が上昇した地点数は、住宅地が19地点増の72地点、商業地が9地点増の42地点。横ばいも増え、住宅地は18地点増の198地点、商業地は5地点増の47地点だった。
 上昇率の道内1位は、住宅地が倶知安町樺山65の132ほかの27.3%。別荘が点在する場所で、外国人による高い別荘需要を反映したものと思われる。全国でも上昇率1位だった。
 2位は戸建て住宅やマンションなどが立ち並ぶ札幌市中央区宮ケ丘2丁目474の86の8.9%、3位は地下鉄の西28丁目駅に近い同区北4条西26丁目375の17の8.5%。住宅地上昇率の上位10地点は、1位の倶知安町を除いて全て札幌市内だった。
 商業地の上昇率1位は、札幌市中央区南2条西5丁目26の17の第一北野家ビルで19.4%。ホテルのラ・ジェント・ステイ札幌大通が入るロイヤルパークスER札幌の西隣で、店舗やホテルなどへの需要の高まりを反映したものとみられる。
 2位は地下鉄の西18丁目駅に近い同区大通西18丁目1の32の19.2%、3位は西11丁目駅に近接する同区大通西10丁目4の132の南大通ビル東館で19.1%だった。
 商業地の上昇率上位10地点は全て札幌市内。北海道不動産鑑定士協会は、「札幌市内のマンション用地需要は一服した感がある。ホテル用地は供給が少なく、容積率の高いところがインバウンド(訪日外国人観光客)関連で上昇率が高い」と分析する。
 一方で下落率が最も高かったのは、住宅地と商業地のどちらも美唄市。全国でも下落率が高い方から住宅地の3位に入り、商業地では1位となっている。下落率上位の地点は空知管内の旧産炭地と留萌管内が多くを占めた。人口減少や高齢化の進行による不動産需要の低下が要因。
 人口10万人以上の都市を見ると、札幌市の平均変動率は住宅地が0.7ポイント上昇のプラス2.1%、商業地が4.7ポイント上昇のプラス7.3%で、どちらも4年連続で上昇した。函館市、旭川市、北見市、苫小牧市は全用途の下落幅が縮小。函館市と北見市はその動きが顕著で、住宅地では下げ止まりの地点が増えている。
 帯広市は、南部の商業施設充実などから住宅地が0.1ポイント上昇してプラス0.1%となり、1998年度以来18年ぶりにプラスを記録。釧路市は、道東自動車道の延伸と釧路外環状道路の開通による車両通行量の増大で店舗需要が高まるなど、商業地が0.6ポイント上昇してプラス0.3%となり、91年度以来25年ぶりのプラスになった。
 3月に開業した北海道新幹線の沿線地域は、新函館北斗駅がある北斗市が全用途で0.5ポイント上昇のマイナス1.3%となるなど下落幅が縮小しているが、道は「直接的に土地の需給関係や地価に大きな影響を与えてはいない」(土地水対策課)とみる。