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建通新聞社四国
2016/10/14

【徳島】中心市街地活性化方策等検討開始 有識者会議

 徳島市の音楽・芸術ホールの整備と中心市街地の活性化について、今後の推進方策を専門的知見から検討する二つの外部有識者会議の初会合が11日、徳島市内で開かれた。当日は各会議の正・副委員長の選出や現状と課題の整理などを行い、意見交換を行ったが、音楽・芸術ホールについては、市がこれまでに示した文化センターの耐震リニューアル案について、委員から否定的な意見が相次いだ。また、中心市街地のまちづくりについて、遠藤彰良市長が複数案あるとしていた青写真は、今回示されなかった。各会議は今後、11月初旬までに3回の会合を重ねて意見をまとめ、遠藤市長に提言することにしている。
 二つの外部有識者会議は音楽・芸術ホールの整備を検討する「音楽・芸術ホール整備推進会議」と市中心市街地の活性化を検討する「中心市街地活性化会議」。新町西地区再開発事業からの白紙撤回に伴い、市が発足した「中心市街地活性化推進本部」(本部長・遠藤市長)の諮問機関となる。
 遠藤市長は冒頭のあいさつで、新町西地区市街地再開発事業の白紙撤回を改めて強調。その理由の一つとして、最終的に225億円に膨らんだ事業費を挙げた。一方で音楽・芸術ホールや中心市街地の活性化は必要とした上で、できるだけ早期の実現を目指す考えを示し、委員らに協力を求めた。
 音楽・芸術ホール整備推進会議では、委員長に徳島大学の山中英生教授を選出。ホール整備の現状と課題について協議した。市からこれまで検討した文化センターの耐震リニューアル案の説明を受け、委員からは「集会機能のみを前提に建てられた文化センターを改修するのにお金をかけるのはもったいない。1円でも新ホールの整備に充てるべきだ」「コンクリートの劣化もある。改修しても耐用年数の問題が残る」「なぜ文化センターの利用案が何回も消えては現れるのか不思議に思う」−など、文化センターの利用そのものに否定的な意見が相次いだ。
 一方、一日も早いホールの整備を求める考えは一致し、そのためにも市が早く具体的な新ホールを整備するのに必要な予算規模を示すなど、会議で何をどこまで話し合うのかを含め、基本的な考えを示すよう求める意見があった。この他、県都とくしまのまちづくりに深く関わる県知事に、特別委員としての参加を求める声もあった。
 次回会合では、市が他県の事例などを踏まえ基本的な考え方を示し、具体的な方策案について議論を本格化することにしている。
 中心市街地活性化会議では、委員長に徳島大学大学院の奥嶋政嗣准教授を選出。中心市街地の現状とまちづくりの考え方、関連事業の経緯と現況について議論した。
 市からは、今後のまちづくりについて▽来街者を増やす▽居住者を増やす―の二つの目標を掲げ、中心市街地の都市機能強化、魅力アップのための取り組み、公共交通などとも連携した周辺のネットワーク、都市の顔にふさわしい景観整備などを総合的に推進していく考えなどが示された。また、中心市街地の活性化に向け展開中の新町西地区市街地再開発事業、ひょうたん島川の駅ネットワーク推進事業、眉山山頂観光展望施設等整備事業、シンボルゾーン等光環境整備事業の各事業について、これまでの経緯と現況などが報告された。
 委員からは「単に来てもらうだけでなく、滞在時間を延ばすことが必要。夜の魅力づくりなど宿泊客も増やす戦略も大切」「交流人口を増やすには公共交通が重要。交通システムをどう考えていくのかという視点で検討すべき」「住んでいる人の満足度を上げること。歩けるまちづくりが大切」「眉山山頂までつながる遊歩道を整備し公園化」「JR徳島駅から眉山までを空中歩道に」などの意見があった。
 また、駅前から眉山だけでなく、駅北側についての課題(遊歩道による動線確保)や県と市が協調する必要性の他、これら事業を再開発事業と切り離し個別に進めるべき−などの声もあった。
 次回会合(24日)から中心市街地活性化に向けた方策案について議論を本格化させる。市は次回会合で再開発事業に代わるまちづくりの代替え案について示す考え。

提供:建通新聞社