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建設経済新聞社
2016/10/17

【京都】天ヶ瀬ダム再開発計画変更 京都府独自で検証へ委員会設置

 天ヶ瀬ダム再開発事業基本計画変更に係る京都府検証委員会(委員長・中川博次京都大学名誉教授)の初会合が14日、京都市内で開催。対策案の内容などについて検証した。11月に第2回会合を開き、意見をとりまとめる。
 初会合で山本悟司京都府建設交通部長は「近畿地方整備局から知事宛に基本計画の変更について意見照会を受け、河川工学や地盤工学等の専門家による技術的・専門的視点から事業費・工期の変更の内容を検証する必要があると判断した」と検証委の目的を述べた。
 近畿地整が宇治市で進める天ヶ瀬ダム再開発事業では、左岸側にトンネル式放流設備(内径10・3m、延長617m、計画放流量600m3/s)を建設しているが、脆弱層(破砕帯)への対応等で基本計画を変更。事業費は約430億円から約160億円増額され、約590億円となる。これにより京都府負担額は治水が約46億円から約63億円(約17億円増)、利水は約38億円から約52億円(約14億円)となり、合計で約84億円から約115億円となり、約31億円負担が増える。
 増加要因は、@FO破砕帯対策工の追加(約59億円)A重金属等含有岩石処理の追加及びこれに伴う施工条件の変更(約40億円)B地盤条件変更に伴う施工条件の変更(約34億円)C工期延長による変更(工事諸費、消費税増・物価増)(約27億円)の4項目。
 @については、減勢池部で先進導坑掘削により設計時の調査結果よりもFO破砕帯の範囲が広い(奥行き9m→14m)ことが確認されたことから、新たな側壁補強対策工を追加する必要が生じ、円柱状の支保工を本坑側壁部の脇に構築するRC円柱支保工の手法を選定。全6本中、1本施工済で3本が施工中(10月7日時点)。
 Aは、掘削土から環境基準を超える自然由来の重金属(鉛及びその化合物、ヒ素及びその化合物)が確認され、産廃処理場へ搬出する方法を選定。仮置きピットを用いた分析・判定でコスト縮減を図る。
 Bは、流入部・前庭部・連壁部の硬岩掘削による変更増(施工単価増)、減勢池部の支保工の追加(鋼製支保工、ロックボルト、PC鋼棒の数量増)及び覆工構造の見直し(鉄筋・コンクリート量の増加)が必要となり、費用が増大した。
 初会合で委員からは「地質を事前に正確に把握することは難しく、掘ってみないとわからない部分もあり、対応は十分理解できるが、議論の記録を残しておく必要がある」「RC円柱支保工は地すべり対策によく使われる。深礎杭として丈夫だが、足元が大事になる。1本打った箇所を評価し、今後追加費用が発生しないようにしないといけない」などの意見が出た。
 10月時点の工事進捗状況によると、流入部は本体発注手続き中(天ヶ瀬ダム再開発トンネル流入部本体他建設工事/8月9日公告、11月29日開札)、導流部は覆工完了、グラウト完了、ゲート室部は本体構築中、減勢池部はFO対策、上半掘削施工中、ゲートは製作完了し据え付け準備中、白虹橋は上部工架替中。