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福島建設工業新聞社
2016/11/10

【福島】県入札監視委が意見聴取/担い手不足に危機意識

 県入札制度等監視委員会(伊藤宏委員長)は、福島市の杉妻会館で8日開いた第61回委員会で、制度運用等に対する建設関係団体、事業者への意見聴取を行った。
 安全・安心を直接担う地域建設業存続のため、地域性の配慮や最低制限価格、低入札価格調査制度の厳格化などを含め、適正な利益が出せる制度の運用や、工事施工の平準化、適正工期の設定、円滑な設計変更に向けた発注側の一層の取り組みを求める声が相次いだ。
 制度改善に向けた受発注者間の意思疎通のため、意見交換の機会設定を求める意見も寄せられた。
 将来の担い手不足に懸念の声もさらに強まり、賃金水準の引き上げや休日の確保とともに、女性活用の取り組みが必要との声も上がった。
 専門工事業団体側は、元・下関係の適正化対策で、法定福利費の別枠計上化への理解を重ねて要望した。
 意見聴取は、入札制度運用上の課題を検証、制度構築や運用に反映させるため毎年行っている。
 対象は県建設業協会、県総合設備協会、県建設専門工事業団体連合会、県土木建築調査設計団体協議会と個別事業者で、@総合評価方式A元請・下請関係の適正化対策B入札不調C電子入札・電子閲覧D品確法等3法改正E技術者・作業員の確保F下請業務の受注│などの項目について聞き取りした。
 総合評価方式の運用に対する元請団体へのヒアリングでは、本業での企業努力や地域性、社会貢献度をより的確に反映できる制度への運用見直しを求める意見が寄せられた。
 設計団体は、土木設計について、難易度の高い業務に限定した適用や簡易型(技術者型)の採用を求める一方、建築設計は、提案性を重視した発注手法の採用を訴えた。
 発注面では、年度当初の工事・業務量の減少緩和や完成時期の集中回避、従業者の処遇改善のため、平準化と適正工期の設定に一段の取り組みを求めた。
 契約変更に対しては、工事で設計変更ガイドラインの運用浸透、徹底を要望。委託業務でも、履行条件が相違するケースでの発注側の柔軟な変更の判断や、手戻りを防ぐための合同現地踏査実施などの提案が上がった。
 専門工事業団体からは、法定福利費の別計上契約とともに、下請発注での県内企業活用に、発注側の関与を訴えた。
 個別事業者への聴取は土木系の受注者を対象に行った。監視委員会で以前、南会津管内の舗装工事で「1社応札や落札率が高い傾向が見られる」ことを取り上げたことで、応札できる時間的距離の範囲などを聴き取りした。
 個別事業者も、求人をしても人手を確保できないなど担い手問題に対する危機意識が強く、女性が働きやすい職場環境づくりを含め、一層の対策が必要との意見が寄せられた。