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日本工業経済新聞社(埼玉)
2016/11/24

【埼玉】東京商工会議所が企業単位のBCP促進

 東京商工会議所(千代田区)は会員企業が独自にBCP(事業継続計画)を策定できるよう、策定ガイドや普及・啓発パンフレットを公開しているほか、防災対策セミナー・施策説明会などを開催している。今後は従来の取り組みに加え、国土交通省との連携を図りながら会員企業へのさらなる周知・啓発活動を推進する方針。さらに、東京商工会議所北支部(北区)は水災害に特化したBCPをまとめ、荒川の氾濫などに備えている。
 東京商工会議所は会員企業を対象とした防災対策に関するアンケートの結果を防災対策促進活動や国・都への意見活動などに反映させている。4月に実施したアンケートは1万社を対象として、1570社から有効回答を受けた。
 アンケートで荒川右岸低地氾濫の被害想定について、内容を詳しく知っていると回答したのは3%、おおむね知っているとしたのは24・5%で、首都直下地震と比較すると認知度は低い。また、BCP策定済みの企業は25・9%で、従業員数が少ないほど策定率が低いことが分かった。
 また、北支部は荒川に近く水災害発生の可能性が高いことを背景として、2013年度に水害対策版BCPを取りまとめた。水災害における有効な対策として、企業単位でのBCP策定、サーバー・パソコンなどのバックアップ、電気系統の防水対策などが挙げられている。
 2日には関東地方整備局河川部水災害予報センター長の石鉢盛一郎氏を講師に招き、水災害の被害想定と企業の対策をテーマに講演を開催した。石鉢氏は「水災害の認知度向上、対策・普及促進の一環として、東京商工会議所会員向けのセミナーや水害対策版BCPの取りまとめなどを支援してまいりたい」との方針を示した。
 東京商工会議所北支部の水害対策版BCPに示されている水害対策は次のとおり。
【水害が引き起こす諸問題への備え】
 わずかな床下浸水でも会社の事業継続に支障を来たす可能性がある。自社のサーバー・パソコンのバックアップ、電気系統の防水対策に加え、仕入先を分散させておくことで顧客への影響も回避できる。
 また、経営者不在でも社員へ避難・緊急対応などの指示を行えるよう、代行者に権限移譲をしておく
【企業単位でのBCP策定】
 BCPは自然災害時に事業中断を回避または目標復旧時間内の事業再開が目的。災害に強い企業になり、従業員の安心、取引先の信頼・信用につながる。また、BCP対応の融資が受けられる場合がある
【最低限のポイント】
 事前対応に▽洪水ハザードマップなどによる被災可能性の把握▽浸水対策用品準備▽損害保険加入▽重要情報バックアップ▽事業中断に伴う資金不足や賃金支払などに必要な資金確保――が挙げられている。
 迅速な初期対応として▽自治体ホームページなどからリアルタイム水位情報収集▽防災無線などを通じた避難情報入手▽土のう・止水板などの設置による浸水被害軽減▽重要書類・パソコンなどの上層階への移動▽従業員の帰宅・避難――が示されている。
 応急対応は▽指揮系統立ち上げ▽顧客・協力会社などへの情報発信▽勤務可能な従業員・稼働できる設備の確認および事業継続▽仕入先の状況把握および代替仕入先への切替・輸送手段切替――。