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建通新聞社(東京)
2016/12/01

【東京】都 谷沢川分水路、17年度に準備工

 東京都建設局は、谷沢川分水路新設に伴う準備工事に2017年度に着手する方針だ。1時間当たり75_の降雨があっても浸水被害が発生しないよう、多摩川通り(国道246号)付近から多摩川との合流部付近までの既存道路や河川の地下空間にシールドトンネルを建設する計画で、年内にまとめる基本設計をベースに詳細設計作業を進め、本体工の発注に備えた周辺整備を実施する。17年度当初予算で事業費の確保を求めている。
 谷沢川は、世田谷区桜丘4・5丁目付近の湧水を水源に同区中町や等々力(等々力渓谷)を流れ、野毛付近で丸子川と交差した後、玉堤で多摩川に合流する延長3・7`の多摩川水系の1級河川。時間雨量50_への対応として、河道の拡幅や掘削など河道断面を広げることを中心に整備を進めてきたが、密集市街地のため用地取得が難しく、事業進捗(しんちょく)率は約3割にとどまっている。
 近年の集中豪雨の多発により、谷沢川流域でも浸水被害が発生していることから、治水に関する河川整備の目標を時間雨量75_に引き上げ、それを実現するため、道路など公共空間の地下を利用した分水路を新設し、洪水の一部を分流して流下能力を高める。
 多摩川通りと首都高速道路3号渋谷線との分岐点付近(世田谷区玉川台1丁目)を起点、丸子川との合流部付近(玉堤2丁目)を終点に設定。建設技術研究所(中央区)で進めている基本設計の中で、シールドトンネルのルートとともに、口径や延長といった規模、二次覆工の必要性、セグメントの種類・厚さ、シールドマシンの機種、発進・到達方法などの絞り込みを進めている。
 また、既設の谷沢川雨水幹線との接続方法について、既設の立坑に直接接続する方法と別途到達立坑を整備する方法を比較検討している他、谷沢川本川から取水して河川水位を下げ、雨水排水を促す暫定運用も視野に、取水や放流施設の構造などの諸元の絞り込みも行っている。
 年内をめどにこれら検討結果をまとめ、工事全体の全体施工計画と維持管理計画を作成し、実施設計に移行する。
 17年度中に実施設計を完了させるとともに、資機材の搬入などに向けた準備工事に着手する考えだ。準備作業の進展を踏まえ、早ければ18年度に本体工事を発注。24年度の整備完了を目指す。

提供:建通新聞社