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建通新聞社(東京)
2017/01/16

【東京】都 沿道建築物耐震化促進へ検討委

 東京都都市整備局は特定建築物沿道建築物の耐震化をさらに加速するため、学識経験者や弁護士らで組織する検討委員会を立ち上げる。条例を制定して義務化したものの依然として耐震診断を受けていない建物や、耐震性の不足が指摘されたものの設計や工事に移行していない建物も少なくない。そこで、賃借人(テナント)の責務や、改修を行っていない所有者に耐震化を促す新たな方策などについて、法的な観点を加えて検討する。1月25日に都庁内で初会合を開いて課題の整理を始め、2018年度までの2カ年で対策をまとめる。
 16年6月末時点の都のまとめによると、特定緊急輸送道路の沿道にある建築物1万8464棟のうち、新耐震基準で建てられた建築物は1万3613棟、旧耐震基準による建築物は4851棟ある。旧耐震基準の建物では4573棟(94・3%)で耐震診断を実施しており、このうち1509棟で耐震改修などの対策が完了した。新耐震基準の建築物と合わせた「耐震性を満たす建築物」は1万5122棟となっている。
 一方、耐震診断を実施していないため耐震性が不明な建築物がまだ278棟あり、耐震診断を受けたものの対策を行っていない建築物も3064棟ある。
 都は16〜25年度の10カ年を期間として策定した「東京都耐震改修促進計画」で、15年12月末現在で80・9%にとどまっている特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率を19年度末に90%、25年度末に100%に引き上げる目標を設定。改修工事に着手していない建築物の所有者に建築士をアドバイザーとして派遣し、行政の支援制度を説明したり改修計画を提示する取り組みを新たに開始した。補強設計に要する費用助成も拡充し、特に倒壊の危険性が高い建築物は都独自の助成単価を引き上げるなど、耐震化への働き掛けを強化している。
 しかし、建物所有者は耐震化に伴う費用だけでなく、工事期間中のテナントへの補償など多くの不安を抱えているのが実情だ。テナントの反対で改修に着手できないケースもあるという。そこで、法的な観点からテナントの責務として耐震化に協力してもらう方策を考えるとともに、改修を行っていない所有者への新たな支援策や罰則などを探っていく。

提供:建通新聞社