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建通新聞社(東京)
2017/01/26

【東京】投資的経費が13年ぶりに前年下回る 都の17年度予算案

東京都は1月25日、一般会計に前年度比0・6%減の6兆9540億円を計上し、このうち投資的経費に2・1%減の1兆0736億円を充てる2017年度予算案を発表した。投資的経費が前年度を下回るのは13年ぶりで、武蔵野の森スポーツ施設の事業進捗や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村の用地所管換経費(用地取得費)の減などが要因。一方、投資的経費のうち工事費等は2・7%増の9185億円となっており、2020大会競技施設の整備、安全・安心の確保に向けた無電柱化や、橋梁をはじめとした社会資本ストックの老朽化対策、都市機能を進化させるための骨格幹線道路などのインフラ整備を進める。
 特別会計は前年度比7・2%減の4兆1314億円、公営企業会計は10・1%減の1兆9688億円で、一般会計を加えた全27会計の総額は前年度予算を4・4%下回る13兆0542億円となっている。
 17年度予算は「『新しい東京』の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算」と位置付け、@「新しい東京」の未来を切り開く戦略的な施策展開A時代の変化に適応し得る健全な財政運営の推進―の大きく二つの視点から編成。小池百合子知事が掲げる「セーフシティ・ダイバーシティ・スマートシティ」を実現するための施策に予算を重点的に配分した。
 「セーフシティ」の実現に向け、地震が起こっても倒れない・燃えないまちづくりに1461億円を計上した。このうち無電柱化の推進に251億円を充て、新たに条例を制定するとともに、推進計画の策定や低コスト手法の導入に取り組む区市町村を支援する。900億円を盛り込む木造住宅密集地域の不燃化・耐震化では、整備地域内の建築物の耐震診断・設計1000件と耐震改修500件に対する助成を行う。建築物の耐震化促進には310億円を配分し、緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断152件、補強設計450件、耐震改修440件に補助する。マンションの耐震改修を促すため、耐震診断1万件、耐震設計・改修3500件への助成費用も盛り込んだ。
 水害に強いまちづくりのための施策展開には1371億円を配分。環状七号線地下広域調節池や城北中央公園調節池、上沼部雨水幹線、南大泉地区主要枝線の整備など豪雨対策に761億円を充てる。津波・高潮対策には611億円を投入し、護岸・防潮堤延長約1万bや水門など19施設の整備、新砂水門再整備などの事業を進める。
 「ダイバーシティ」の実現では、待機児童解消に向けた取り組みなどに1630億円、特別養護老人ホームの整備費補助など高齢者が安心して暮らせる社会の実現に587億円、トイレの洋式化など誰もが優しさを感じられるまちづくりに168億円を充てる。
 「スマートシティ」の実現に向けた施策については、新客船ふ頭の整備を含めた外国人旅行者の誘致に149億円、環状第2号線や小平3・2・8号線など区部環状・多摩南北方向の道路整備に870億円、鉄道の連続立体交差の推進に335億円、東京港の物流機能の強化に387億円を投じる。
 また、東京2020大会の開催に向けた準備費用として483億円を計上。新たにカヌー・スラローム会場と大井ホッケー競技場の新設、有明テニスの森公園の改修工事に着手する。

提供:建通新聞社