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日刊建設タイムズ社
2017/01/30

【千葉】「地域建設業経営強化融資」採用促進を/未導入市町村の制度理解が課題/県内市町村採用24%にとどまる/

 公共工事を受注した建設会社の資金繰りに寄与する制度として、前金払保証と中間前金払保証が多くの自治体で採用されているが、国はこれらの制度に加え「地域建設業経営強化融資制度」を推進している。しかし、千葉県内の利用率は低く、東日本地区では最下位の状況。「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」が改正され、発注者がその責務を適切に果たすことが求められている今、受発注者双方が同制度を理解し、未導入市町村が制度採用に踏み切ることが喫緊の課題となっている。
 東日本建設業保証叶逞t支店は、前金払制度利用後の新たな資金調達手段として2008年11月に国土交通省が創設した「地域建設業経営強化融資制度」について、市町村の採用と企業の活用を推進している。同制度は、国や地方公共団体等の建設工事などを受注した元請企業が前金払制度を利用した後、工事の出来高が5割に達することを条件に、その工事の請負代金債権を担保として債権譲渡することで、出来高に応じた融資が受けられる制度。当初は10年度末までの時限的なものだったが、東日本大震災発生による利用ニーズに伴い延長され、15年度末には21年3月末までの延長が決定した。
 受注者側のメリットは、@工事請負代金債権を担保とするため、保証人・不動産担保が不要A新たな資金調達手段となるため、現在の取引金融機関の融資枠に影響しないB制度の融資残高は経営事項審査の経営状況分析における「負債回転期間」の負債額から控除され、有利となる――など。
 発注者側のメリットとしては、@「部分払」のような出来高検査が不要A工事請負代金債権を担保とした融資のため、発注者側における資金手当が不要B新たな資金調達手段の確保により、受注企業はもとより地元下請・資材企業など地元建設業の育成効果等が期待できる――などが挙げられる。しかし、県内市町村の採用率は現時点で24%(13市町)にとどまっている。
 現在、同制度を採用している県内の地方公共団体は、県のほか、千葉市、船橋市、木更津市、茂原市、佐倉市、習志野市、市原市、君津市、浦安市、四街道市、匝瑳市、南房総市。このほか、館山市が昨年4月に導入となった。
 15年1月に策定された改正品確法に伴う「発注者関係事務の運用に関する指針」では、前金払制度の適切な運用と中間前金払の活用に加え「地域建設業経営強化融資制度」の活用が盛り込まれ、公共工事の品質確保促進へさらに資金繰りの円滑化が求められている。
 しかし、発注者側が債権譲渡手続きに関するリスクやトラブルなどを警戒し、制度採用が進んでいないのが実情だ。このため東日本建設業保証鰍ナは、@債権譲渡が許可されていないが標準約款に倣った請負契約約款を採用していれば「発注者の承諾を得た場合には権利の譲渡が可能」とされていることA債権譲渡承諾書等の締結により債権譲渡に伴うリスクの軽減やトラブル防止が可能となること――などを、発注者に周知するよう努めている。
 県内における同制度の融資事業者は、千葉県建設業協同組合連合会と褐嚼ン経営サービス(略称:KKS、東日本建設業保証鰍フ100%出資子会社)など。制度に関する問い合わせは東日本建設業保証叶逞t支店(千葉市中央区中央港1―13―1千葉県建設業センター6階、電話043―241―6101)、融資に関する問い合わせは褐嚼ン経営サービス首都圏本部(東京都中央区八丁堀2―5―1東京建設会館2階、電話03―5540―6066)。k_times_comをフォローしましょう
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