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建設経済新聞社
2017/01/30

【京都】犬打峠BPトンネルは約65億円 307号宇治田原BPは約11億円 公共事業評価委で意見聴取

 京都府は、28年度第2回京都府公共事業評価に係る第三者委員会を2月3日に開き、事前評価の一般国道307号(都市計画道路宇治田原山手線)社会事業資本整備総合交付金事業、主要地方道宇治木屋線(犬打峠)社会事業資本整備総合交付金事業と再評価の京都スタジアム(仮称)整備事業の計3事業について、意見を聴取する。
 府は、事前評価の2事業で「新規着手の必要性が認められる」、再評価の1事業で「今後とも環境保全専門家会議の意見を聴取しながら、区画整理事業地でスタジアム整備を行っていく必要性が認められる」とする府の方針を示す考え。
 3事業の概要は次の通り。
 【事前評価】
 一般国道307号(都市計画道路宇治田原山手線)社会事業資本整備総合交付金事業は、国道307号のバイパス道路を整備する計画。宇治田原町の新市街地で新庁舎の移転計画など町のまちづくり計画が具体化されていることから、同町で進められている都市計画道路第1南北線と一体となった道路網が形成される区間880mを当面の事業区間として設定した。
 事業箇所は宇治田原町贄田〜南。延長は880m、幅員は10・5m(車線3・25m×2車線、路肩0・75×2、片側歩道2・5m)。用地は将来幅員16・0m(車線3・25m×2車線、路肩0・75×2、自歩道4・0m×2)で取得する。
 計画交通量(42年度時点)は3300台/日。道路の区分は第3種第2級。
 事業着手年度は29年度予定。事業期間は5年間で事業完了は33年度。全体事業費は約11億円。
 事業区間の横断構造については、片側歩道の幅員10・5mの計画案が経済性(同町施工部分含む)で約13億円(うち府負担約11億円)となり、案2の片側自転車歩行者道12・0mの約14億円(うち府負担約12億円)、案3の両側自転車歩行者道16・0mの約17億円(うち府負担約14億円)と比べ、事業費が安価であり、早期に事業効果が出るとした。
 バイパス全体のルートは、現都市計画ルートを踏襲しつつ、同町の新市街地計画を考慮した案。起点は都市計画道路宇治田原工業団地線付近。新市街地南側付近(都市計画道路第3南北線、第2南北線、第1南北線)を経由し、主要地方道宇治木屋線(南バイパス)に接続する。事業延長は約3・2q。計画の橋梁延長・数は約100m、4橋。経済性(同町施工分含む)は約54億円。
      ◇
 主要地方道宇治木屋線(犬打峠)社会事業資本整備総合交付金事業は、道路幅員5・5m以下の区間が全体の8割以上を占め、普通自動車も離合が困難な状況で、最も小さい曲線半径が5・5m、最も急な勾配は16%の交通難所の現道のバイパス道路としてトンネルを整備する計画。
 事業路線の主要地方道宇治木屋線は、宇治市を起点に宇治田原町を経由し、和束町木屋に至る道路で地域内の南北アクセス軸。バイパス整備で安全で安定したアクセスが可能になれば、和束町役場から新名神高速道路宇治田原インターチェンジ(仮称)まで約15分で結ばれ、地域産業の振興や、お茶の文化を生かした観光客の呼び込み等も期待できる。
 事業箇所は宇治田原町南〜和束町別所。事業延長は3・6qで、トンネル延長は3・1q。幅員は7・5m(土工部は車線3・00m×2車線、路肩0・75m×2)。トンネル部及び橋梁部は7・0m(車線3・00m×2車線、路肩0・5m×2)。
 計画交通量(42年度時点)は4800台/日。道路の区分は第3種第3級。
 事業着手年度は29年度予定。事業期間は7年間で事業完了は35年度。全体事業費は約65億円。
 ルート案は、路線延長を最短とするルート(トンネル最長)の計画案を経済性、走行性、安全性で優れるとして選定した。橋梁延長・数は約10m・1橋、トンネルは約3・1q・1基、法面工は約2600u。案2のトンネル延長を短くし発生土を有効利用するルートは事業延長約3・8q、トンネル約2・9q・2基等で約72億円。案3の可能な限り現道を拡幅するルートは事業延長約3・8q、トンネル約2・1q・2基等で約72億円。
 環境面ではトンネル計画など地形改変を最小限に抑える工法等により、茶畑への影響を可能な限り回避するよう努める方針。
 なお山城北土木事務所は、トンネル事業化の最適ルートの確定に向けた道路概略修正設計について、復建調査設計に委託した。設計工期は29年2月28日。
 【再評価】
 京都スタジアム(仮称)整備事業の事業箇所は亀岡市追分町(亀岡駅北土地区画整理事業地内)で、JR亀岡駅から亀岡駅北線道路沿いに約280m、徒歩4分程度。当初計画では、京都・亀岡保津川公園内だったが、アユモドキの生息環境の保全と地域の保全活動の維持・発展につながるスタジアムの整備との両立を早期に実現させるため、亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)に係る環境保全専門家会議の座長提言に基づき、建設位置を区画整理事業地内に変更した。
 区画整理事業地のうち、現在供用中の都市計画道路亀岡駅北線をJR亀岡駅ロータリーとの交差点から市道保津橋追分線との交差点までの間は北側に移設し、その都市計画道路と区画整理事業計画で予定されている東・西・南の街区道路で囲まれた区域の約3・2fを京都スタジアムの建設用地として予定している。
 スタジアム建設着手までに都市計画道路の変更、用途地域の変更、地区計画の設定、区画整理事業の事業計画変更等の手続きを亀岡市及び区画整理組合で行うとともに、用地取得も行う。
 スタジアムは球技専用球技場で観客席数は2万1500席程度(日本サッカー協会が規定する収容規模のクラス1に対応。AFCチャンピオンズリーグ、日本代表の公式、親善試合が可能で、J1及びJ2の試合開催が可能)。フィールドは126m×84m(サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどの球技が可能)。
 年間集客数は約26万人を想定する。スタジアムを訪れる観客についてはJR等の公共交通機関の利用を促す。役員や選手、報道等の関係者の駐車場はスタジアム内に確保する。
 コスト縮減の取り組みは、▽スタジアムの基礎掘削に伴う発生土量とピッチ築造の土量のバランスの最適化を図り、土工事のコストを縮減▽コンクリート工事のプレキャスト化を図り、現場コンクリート打設量を少なくし、工事期間の短縮等によりコストを縮減▽スタジアムのコンパクト化を図り、コストを縮減。
 事業着手年度は27年度で経過年数は1年。事業完了予定は31年度。全体事業費は約132億円(スタジアム建設工事費130億円、設計費等2億円)。28年度末投資額累計は1億円。残事業費は131億円。進捗率は1%。用地費34億円をあわせた概算事業費は166億円。
 府スポーツ施設整備課は、京都スタジアム(仮称)実施設計等業務について、28年12月2日に東畑建築事務所大阪事務所(大阪市中央区)と1億1880万円で契約した。
 同社の提案によると、建物の規模は延約3万3000u。建物高さは27・0m(4階建)。構造はRC造一部S造。整備が見込まれる主な施設及び設備の仕様によると、施設内容として全席を覆う屋根、ゼロタッチの観客席(ゴールラインとの距離10・5m、タッチラインとの距離8m、観客席とピッチとの高低差1m)。座席内容は座幅45p、座間隔47p(跳ね上げ式)。大型映像装置、照明1500ルクス以上。このほか、太陽光発電、LED照明器具の採用、府内産木材活用(「木ルーバー」や内装使用)、ニュースポーツ(クライミングウォール)、防災備蓄倉庫、商業ゾーン、芝管理(日照、通風、散水の確保)。