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建通新聞社四国
2017/02/14

【高知】高知県 南トラ対策本部会議で17年度取組と予算示す

 高知県は9日、南海トラフ地震対策推進本部会議(本部長=尾ア正直知事)を開き、2017年度に取り組む地震対策と予算額や、16年度から3カ年で進めている第3期行動計画で定めた八つの重点課題の進捗状況に加え、熊本地震を受け計画を見直し、17年度から12(線表レベルでは35)の取り組みを追加することなどについて各部局が報告した。
 各部局が報告した17年度の取り組みと予算額(確定前)によると、危機管理部では新規として、地域津波避難計画現地点検の分析に1557万円を計上し、津波避難経路の安全対策の課題を抽出し方向性を検討する。拡大する事業では、高知市タナスカなどにある石油基地の地震・津波対策の検討に3163万円で、津波によるがれきなどの拡散シミュレーションを実施し、さらに掘り下げた検討を進める。また市町村が進める津波避難施設整備に向けた補助に6億1043万円、集会所や公民館などの耐震化支援に2691万円、緊急用ヘリコプター離着陸場整備の支援に8459万円などを計上する。
 教育委員会では、県立学校の耐震化推進に6億5036万円で、体育館の非構造部材などの耐震対策やコンクリートブロック塀の改修を進める。保育所・幼稚園などの地震対策促進には4億5273万円で、黒潮町、土佐清水市、四万十市の計4施設の高台移転などについて支援する他、耐震診断に対する補助も行う。
 健康福祉部・地域福祉部では、医療施設や社会福祉施設の耐震化の支援や、社会福祉施設の高台移転の検討と補助を進める。またライフラインの地震対策として、被災後の飲料水を確保するため配水池の耐震化への補助制度を創設する。
 農業振興部では、安芸市や香南市での津波避難タワーや黒潮町での避難路などの農村防災施設整備に5億2077万円、9地区でのため池耐震化整備に3億8530万円、農業用燃料タンクの安全対策に1億7853万円を計上。また県有建築物の耐震化・室内安全対策には8394万円を計上し、農業技術センターでA重油・灯油耐震対応タンクと配管改修など、茶業試験場で製茶作業室耐震補強工事など、畜産試験場で畜舎建て替えの設計などを進める。
 林業振興・環境部では、いの町葛地区での地すべり対策事業に4265万円、東洋町生見地区と芸西村西分地区で防潮堤の陸こうを閉鎖し、代わりに階段などを設置する工事に8300万円を計上。
 水産振興部では、防災拠点漁港で岸壁の耐震強化や防波堤を粘り強い構造とするための補強工事を進め、漁業用屋外燃油タンク7基を撤去し地下化などの整備を進める。また内水面漁業センター本館の耐震改修や、水産試験場古満目分場管理棟の耐震診断なども予定している。
 土木部では、住宅の耐震対策に7億0100万円、緊急輸送道路・啓開道路の橋梁耐震補強に22億8200万円、30カ所で実施予定の緊急輸送道路における法面対策に10億7100万円、高知港海岸の地震・津波対策に10億9200万円、県管理河川の地震・津波対策に6億2400万円などを計上する。また都市計画道路高知駅秦南町線整備には15億円で、17年度中の用地買収完了を目指す他、久万川に架ける橋梁の下部工にも着手したい考え。庁舎の地震対策関連事業には7億6500万円で、土佐清水事務所の高台移転に向けた工事費などに充てる。
 第3期行動計画については、昨年4月に発生した熊本地震の教訓を踏まえ見直しに着手、「大きな揺れが繰り返す」というさらに厳しいシナリオに基づいた対策を反映させ、当初より12(線表レベルでは35)の取り組みを追加する。主な項目は、学校体育館の安全対策、県立文化施設のつり天井対策、ごみ処理施設・し尿処理施設の強靱(きょうじん)化に向けた支援、迅速な損壊家屋などの解体撤去対策など。

提供:建通新聞社