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建通新聞社(神奈川)
2017/03/15

【神奈川】関東技術事務所12市町村にアンケート 道路インフラのメンテンナンス 体制や技術力、予算確保に課題

  「マンパワーが不足」「交付金が要求額に満たない」――国土交通省関東技術事務所が首都圏の地方公共団体12団体を対象に道路メンテナンスについてアンケートを行ったところ、対応する体制や技術力、予算不足などに不安を抱える声が多かった。また、積算方法、設計や工法の選定などで苦慮する様子も浮き彫りになった。予算や技術面での国などの役割が問われそうだ。
 アンケートは、2017年度に予定している関東地方整備局管内の主な地方公共団体を対象としたアンケートの事前調査。東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県内の8市3町1村を抽出して行った。
 これからの事業実施に当たって想定される課題については、工事発注、監督体制、技術力、予算などで指摘があった。例えば、工事発注と監督体制では「工事だけでなくいろいろな仕事があり、マンパワーが不足」しているといい、民間経験者の中途採用を募集しているが、募集枠を満たす人員が集まらないという。団体によっては「発注、修繕に精通した技術者がいない」「点検業務・橋の修繕工事について職員に知識が無い」というものもあった。このため「コンサルタントの成果が適正か否か分からない」。
 予算の確保でも不安が大きい。国からの交付金は「要求額の6割程度の査定」で、財政部局も事業費を査定に合わせて圧縮するという。補修・修繕に向けて新たに予算枠を確保する団体がある一方で、「長寿命化は判るが、現実的には難しい。対症療法的にならざるを得ない」「点検は何とかなっても工事になるとつらい」との回答もあり、「予算不足のための利用頻度が少ない橋の撤去を検討したが、撤去の方が予算がかかる」という指摘もあった。
 さらに修繕工事の課題として、経験や蓄積が少ない地方公共団体からは、「小規模な橋梁、スケールメリットが無い橋の積算方法に困っている」「補修工法が何案かあり、どれが良いのか判らない」といった声も寄せられた。
 現行の橋梁点検要領については、点検頻度や点検方法などの見直しを求める意見が出た。具体的には小規模な橋と大規模な橋を一律に5年に1回の点検とせず、重要度に応じて判断するよう要望。全てを近接目視とすることには「財政的に厳しい」とも。また、小規模な工事での足場の考え方や工事の歩掛かり、補修工法の選定などに対応した基準書などを求める意見も寄せられた。
 提供:建通新聞社