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建設新聞社
2017/03/21

【東北・福島】大熊町が新庁舎の基本・実施設計、施工者を一括選定、4月7日までプロポ参加受付

 東日本大震災発生以来、6年間の全町避難が続く福島県大熊町は、町内への帰還に向け復興拠点として位置付ける大川原地区に役場庁舎の移転新築を計画し、17日にデザインビルド方式による公募型プロポーザルを公告した。内容は基本・実施設計、工事監理および建設工事。今回のデザインビルドでは、基本設計から一貫して携わる事業者を選定することで、事務手続きなどを省略し工期短縮につなげたい考えだ。
 プロポーザルの参加形態は、設計と工事監理を担当する企業と建設企業による3社以内の特定JVまたは設計・施工を一括して行う単体企業。
 設計企業の資格要件は過去10年間に延べ面積が6000平方b以上の建築物の新築設計を完了した実績があることなど。
 一方、建設企業の資格要件は「建築工事」「土木工事」「水道施設」「電気工事」の建設業許可を有し、経営事項審査の総合評定値(P点)のうち建築一式工事が1300点以上であることなどで、施工実績は過去10年間に延べ1万平方b以上の庁舎等または事務所等の新築を受注した実績となっている。
 第1次審査(参加資格確認)の書類提出は、4月7日まで大熊町役場会津若松出張所総務課管財係で持参のみ受け付け、14日に参加者に結果を通知する。
 第2次審査(基礎審査・価格審査・実績審査)および第3次審査(技術提案審査)の書類提出は、5月22日まで同所で持参を受け付ける。
 第2次審査では、基本的条件や要求水準を満たしているか審査するとともに、価格の正当性や過去10年間の実績を確認する。
 その後、6月1日開催の第3次審査は、学識経験者ら5人で構成する技術提案書審査委員会が、第2次審査通過者に対するヒアリングと技術提案審査を実施する。
 審査の総合評価点は300点で、配点は実績審査と技術提案審査の合計得点である定性的評価点が180点、価格点が120点。総合評価点の最も高い提案者を6月2日に優先交渉権者に選定し、16日に事業実施協定と設計委託契約を締結するスケジュール。
 この計画は、既存の役場庁舎が帰還困難区域内に位置していることに加え、東日本大震災で柱にひびが入るなど被害が大きかったことも踏まえ、先行除染が完了し復興拠点として今後のまちづくりの中心的な役割を担う大川原地区に恒久的な庁舎を建設するもの。
 計画によると、施工地は大熊町大川原南平地内の敷地約1万7840平方b。新庁舎は、S造2階建て、延べ約3950平方bの庁舎棟(A棟)と、RC造2階建て、延べ約850平方bの防災・災害対策機能棟(B棟)で、合計の延べ面積は約4800平方bとなり、275平方b程度の付属棟も整備する。
 施設のうち、防災・災害対策機能棟は、放射線を防護し災害発生直後から災害対策拠点としての役割を果たす観点からRC造を採用。一方、庁舎棟はS造を想定しているが、工期や価格などの課題をクリアできるのであれば、提案者による変更も認める。
 また、外壁、窓の断熱性強化による負荷の低減や、省エネルギー性能に優れた設備の採用などにより、消費エネルギーを削減するとともに、太陽光発電や水力、風力などの再生可能エネルギーを積極的に活用する。加えて、災害時に電力などインフラの供給が停止した場合でも、災害対策機能部分では72時間程度の業務継続が可能となるよう、非常用発電機または蓄電池、貯水槽を設置するとしている。
 事業者選定後は、設計の作成に着手、2018年4月末ごろには工事請負契約と工事監理業務委託契約を締結して着工したい考えで、19年3月31日の完成を目指す。
 なお、参考事業費としては、工事費が27億5000万円、設計費が9000万円、工事監理費が2340万円の合計28億6340万円を試算している。

 提供:建設新聞社