トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北陸工業新聞社
2017/03/28

【石川】「曳家」で20m移動/總持寺山門の保存修理/6月に元の位置へ

 輪島市門前町の曹洞宗大本山總持寺祖院で25日、能登半島地震で被害を受けた山門(国登録有形文化財)の保存修理に伴う「曳家」が行われた。基礎地盤を耐震化するため20メートル後方に移動した。今後、地盤の補強工事が進められ、6月中に元の位置に戻される。
 山門は1932(昭和7)年に建てられた総ケヤキ造りの建築で、高さ18・3メートル、幅12・8メートル、奥行き7・3メートル。保存修理では、曳家で後方に一旦移動し、沈下した基礎部分の地中に鋼管杭を打ち込んで地盤強度を高める。
 曳家は、安全祈願法要後の午前10時40分ごろから始まり、約1時間ほどで終了した。その間、寺の関係者や多くの一般拝観者らが見守る中、重さ約200トンの山門がウインチで後ろに引っ張られ、レールの上をゆっくりと動いていった。専門業者の熊野建設(鯖江市)の職人たちが慎重に確認しながら作業した。
 元請け施工業者の松井建設で現場代理人を務める磯見浩之さんは、無事に曳家が終わると安どの表情を浮かべた。今後は山門のほか、香積台(こうしゃくだい)や禅悦廊(ぜんえつろう)、玄風廊(げんふうろう)などの工事も控え「文化財はそれぞれ造られた年代も違うので、バランスを見ながら保存修理に取り組んでいきたい」と気を引き締めていた。
 保存修理は20年度に全ての工事が完了する予定となっている。設計・監理は文化財工学研究所(東京都)が担当。
 同寺は08年度から能登半島地震で被害を受けた建築物を修復する震災復興事業に着手した。これまでに大祖堂や鐘鼓楼などの修理が終わり、現在は仏殿などの工事が進められている。

hokuriku