トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(東京)
2017/03/30

【東京】都検討会 多摩NT再生でガイドライン中間まとめ

 多摩ニュータウン地域の再生に向けた方策を探るため東京都が設置している検討委員会(委員長・岸井隆幸日本大学教授)は、3月29日に開いた会合で「再生ガイドライン」を中間的にまとめた。広域的な交通インフラの充実や技術革新への対応、団地再生の促進、防災力の強化など八つの視点を提示した上で、南多摩尾根幹線の早期整備や多摩モノレールの延伸、土地交換などによる都市機能の再配置、公的賃貸住宅・分譲住宅の再生などを求める内容。都民意見の反映手続きなどを経て2017年度に成案を取りまとめる。
 多摩ニュータウン地域再生ガイドラインでは、目指すべき都市像・地域像を「緑豊かで高質な住環境ストックや、周辺地域と交流・連携しやすい立地を生かし、新たな価値を生み出す拠点の形成により多様なイノベーションが創出され、生活を支える機能が集約された持続可能な都市」とする。
 その実現に向けた取り組みでは、広域的な交通インフラの充実として、南多摩尾根幹線の4車線化の早期整備と、神奈川県側の都市計画道路との接続について相模原市と検討を進める。併せて多摩モノレールや小田急多摩線の延伸など公共交通ネットワークを充実させる。
 技術革新への対応では、高水準のインフラや学校跡地を活用し、ドローンやさまざまなモビリティーなどの新技術の実証実験が行えるようにする。インフラなどの点検・診断にICT技術を活用する実証実験も誘導し、効率的な維持管理につなげる。
 イノベーションの創出に向けては、都営住宅の建て替えなどで創出する用地や区画の大きな未利用地を活用し「多摩イノベーション交流ゾーン」の拠点を形成。リーディング施設となり得る企業や研究所といった機能を誘致する。大学や住宅管理者と連携し、既存団地に留学生向けの住宅も確保する。多摩ニュータウン内に立地する企業が近い将来、施設や設備の更新期を迎えた際に、地域内で事業を継続できるよう優遇制度を拡充する。
 地域のニーズに合わせた生活基盤の更新として、老朽化した団地の建て替えや幹線道路の事業化を契機に、創出用地や有休公有地を活用・交換することで、都市機能の再編・整備を促す。複数の用地を面的・一体的に交換するといった市街地開発事業手法についても検討する。団地建て替えに伴う創出用地や学校跡地には、医療・高齢者施設、子育て施設などを誘導する。団地の一部を商業・業務・居住など複合的に活用することや、団地内の低未利用地を地域ニーズに即した土地活用に誘導することも考える。
 身近な公共施設を適切に維持管理していくため、最新の技術を取り入れて橋梁や下水道などの長寿命化・大規模更新を行う。街路樹については、的確な剪定(せんてい)や道路空間に適した樹種への植え替えなどにより量的拡充から質的向上に転換し、維持管理コストを低減させる。
 団地に関しては、老朽化した公的賃貸住宅の建て替えや改修を促進する。分譲住宅については「マンション再生まちづくり制度」を活用して旧耐震基準の建物の建て替えや改修を促す。公的賃貸住宅と一体的に開発された分譲住宅では、公的住宅の再生・再編と連携した団地再生の方策も検討する。

提供:建通新聞社