トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2017/03/30

【群馬】県環境森林部・全国で最も早いCLT建築例の榛名神社奉納額収蔵庫で現場研修会開催

県環境森林部は17日、林野庁の2016年度CLTを活用した建築物等実証事業に採択された榛名神社(高崎市榛名山町849)の「文化財等倉庫新築工事(奉納額収蔵庫)」の完成に伴い、建築見学会を開催した。16年4月の法整備後竣工した建築としては全国で最も早い例の一つとあって、当日はCLT活用による地方創生に賛同する町村長や関係者など総勢約50人余が参加した。
同倉庫はCLTパネル工法の平屋建て、延べ面積100u、最高高さ4・8m。CLT使用量は90o厚の壁が23立方m、150o厚の屋根が18立方mとなっている。基本設計と実施設計をエムロード環境造形研究所(渋川市)、構造設計の協力とCLT供給は銘建工業(岡山県真庭市)が担当した。16年10月に着工、2月に完成した。
CLTを活用した建築物等実証事業ではスギCLTの持つ断熱や調温・調湿性能を利用し、文化財・美術品などの収蔵庫などとしてのCLT構法の可能性を実証する。具体的にはCLTパネルによる壁・屋根の断熱性能の実証実験や室内側CLT現し部分の含水率を測定し、室内外の環境変化による含水率の変化を調べ、耐久性の検証、室内外に設置した温湿度センサーによって得られたデータを分析し、CLTを室内側現しで使用した場合の断熱効果・調湿効果などを確認する。
CLTの環境的な付加価値を確かめることで、建築全般への利用促進につなげたい考えだ。また、倉庫などには視覚的な現しの品質は必要がないことから、将来的には低資材を用いたグレードのCLTパネルを使用することでコストダウンの可能性もあるという。
CLTはスギやヒノキ、カラマツなどを使用し、ラミナと呼ばれるひき板や小角材を繊維方向が層ごとに直行するように積層接着した木質系面材料。製造にあたり節材や辺材などを有効活用できることから森林の多い山間部の活性化に寄与すると期待されている。
建築需要の多い都市部で施工性の良さが建築技術者不足の打開策になることや、断熱性能があり、施工期間が短いなどがCLT建築の利点としてアピールされている。全国の森林年間成長率約1億立方mのうち14年の国産材需要量は約24%で約2366立方mに留まっている。こうした地方の森林資源を生かして雇用の創出や観光振興、地球温暖化対策などを進めることで双方にメリットがある。
全国的には15年8月にCLTの普及を目指した首長連合が結成されている。県内からは上野村や神流町、下仁田町、南牧村、川場村、みなかみ町が地方創生の実現に向けて加盟している。同会では、東京オリンピック・パラリンピック関連施設へのCLT活用を提言したり、地方がCLTの活用を通じて地域づくりを進め、発展していけるよう取り組んでいる。
このほかCLTを活用した建築物等実証事業に採択された6事業にはエムロード環境造形研究所が設計する下仁田町のコミュニティ施設も対象となっており、CLT告示化後では県内2例目となるCLT建築に期待が寄せられている。
なお4月12日の午後2時からは榛名神社奉納額収蔵庫(高崎市榛名町849)で群馬県木材組合連合会が主催する現場研修会が開催される。
問い合わせは群馬県木材組合連合会(рO27−266−8220)まで。