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北陸工業新聞社
2017/04/07

【富山】第5次計画へ社員一丸/大谷裕明新社長が所信表明/YKK入社式/「洞察力、提案力、実行力あれば貢献できる」

 YKK(本社・東京都千代田区)の入社式が、YKK50ビル(黒部市)でこのほど開かれ、4月1日付けで就任した大谷裕明新社長が登壇し、式辞の中で新入社員を激励するとともに、所信を述べた。
 4年を一つの括りとして中期経営計画を立てている同社にとって、17年度は節目の年となる。「本日より第5次となる中期経営計画がスタート。大きな目標に向け社員一丸となって取り組み始める節目に、みなさんは入社された。創業80年を過ぎたYKKは、第5次計画の4年間で量的にも金額的にも、30〜50%と大きく伸ばす成長戦略を描いています」と、今後の展望を明示。高い数字は挑戦への意思表示とした。「ものづくりとは、たくさんのものを作っていく中で、様々な経験、失敗もしながら品質を上げていくもの」とし、ファストファッションや衣料専門店、量販店、eコマースといったボリュームゾーンを軽視すると、他社にいつのまにか力をつけられ、自社のビジネス領域を狭めてしまうと危惧。「だからこそ、もっともボリュームのある領域にチャレンジしていきます。『二兎追うものは一兎をも得ず』ということわざのように、高付加価値とボリュームゾーンの両者に向かうことで中途半端になると思う人がいるかもしれませんが、わたしはそうは考えません。ファスニング事業では『二兎を追わねば一兎をも得ず』という気概で、新しい中期経営計画に臨みたい」と強い意気込みを示した。
 これらの取り組みの根底には、YKK精神である『善の巡環 他人の利益を図らずして自らの繁栄はない』という考え方がある。「世の中のあらゆる方々、特に人口が増えていくアジアの成長国市場から目を背けると、企業の成長はありえません。我々はメーカーである以上、『Technology Oriented Value Creation』(技術に裏付けられた価値創造)というビジョンのもと、技術の革新と進化によって、コストを徹底的に下げ、より良いものをより安く、そしてより早くお客様に提供していく必要があります」と強調した。
 新入社員に期待することとして「気づき(洞察力)、課題改善のための提案力と実行力、この3つの力があれば、あすからでも会社に貢献できます。関連する人たちの課題を一つずつ解決する『価値業務連鎖』は、最終的にお客様の満足度最大化につながります。大きな貢献をしようと肩に力を入れず、日々の業務で周りの人と一緒に課題を解決していこうという姿勢で、仕事に取り組んでください。YKKには『失敗しても成功せよ』という言葉があります。わたしを含め、列席する役員はみな、過去に失敗して今ここにいます。同じ失敗を何度も繰り返すのではなく、多種多様な、異なる失敗を多く経験する方が、成長度合いは早いでしょう。みなさんが、これから思い切って仕事をする中で少々の失敗があったとしても、YKKはびくともしません。何も恐れずがんばってください」と呼びかけた。
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 おおたに・ひろあき 1959年生まれ、57歳。82年に甲南大経済卒、YKK入社。2014年に副社長。兵庫県出身。

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