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建通新聞社(東京)
2017/04/26

【東京】都の入契制度改革 公表時に施工条件など明示

 東京都が「入札契約制度改革の実施方針」に沿って、予定価格を事後公表に改めることに合わせ、工事案件の公表(公告)時に施工条件や内容をより詳細に明示することを決めた。財務局が契約する案件で入札手続きを中止する1者入札ついては「一般競争入札または指名競争入札で、希望申請が1者しかいない場合」と定義し、2者以上の希望申請があり、辞退などがあって1者しか応札しなかった場合は中止せずに開札する。また、財務局案件で低入札調査基準価格制度を原則化することに伴う対応では、社会保険未加入対策を強化して契約後の追跡調査を厳格化するとともに、工事成績判断基準の導入や特別重点調査の失格基準化などを検討する考え。4月25日に開かれた都議会財政委員会で財務局が説明した。
 財政委員会では、都議会や建設業界への説明、議論なしに制度が構築され、すぐに試行することに対する反対意見が集中。秋田一郎氏(都議会自民党)は、「都自らが進めてきた(入札に参加しやすい環境づくりなどの)取り組みを全否定するものだ」と批判した上で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控えた工事進捗の遅れを危惧し、不調や1者入札の中止の際の対応を尋ねた。
 都側は競技施設を例に、1者入札で中止となった場合、工事の所管部局と連携し「案件ごとに入札参加条件や施工条件を見直し、再発注する」と答弁。「そうならないよう、あらかじめ十分に配慮することが必要。施工条件や内容をより詳細に設計図書に盛り込み、入札に参加しやすい条件を整える」と述べた。「市場価格とのギャップのない適正な予定価格の設定に努め、事業者に無理を強いることのない適切な工期・工程の設定などをさらに強化する」との考えも説明した。
 秋田氏は、財務局案件に適用している最低制限価格制度を低入札価格調査制度に変更することに関し、都の確認体制を聞いた。
 都側は「調査する件数がどの程度になるかは分からない」と前置きし、「ダンピングによる工事の品質の低下や、下請けとして参加する中小建設業者に不当なしわ寄せが生じないよう、工事施工体制に関する調査に重点を置く」と説明。社会保険未加入対策や契約後の追跡調査を厳格化する他、工事成績判断基準の導入、特別重点調査の失格基準化などを進める考えを示した。
 吉倉正美氏(公明党)は、「現場を知らない机上の空論から生まれた制度で、中小建設業者が不安を持つのは当然だ」と批判。その上で「制度改革に伴う変更を早急に示すべき」と指摘した。
 都側は「制度の詳細をまとめている段階。業界団体に対しては4月27日以降、順次説明の場を設け、周知していく」と答えた。
 また、低入札価格調査制度への移行などによって、下請け事業者に不当なしわ寄せがあってはならないと指摘し、都の対応を確認した。
 都側は「公共工事の品質確保と中長期的な担い手の確保、ダンピング防止といった改正品確法の理念を踏まえて制度を運用する。中小建設業者が受注する各局・事務所契約の案件では、予定価格の事後公表以外は、最低制限価格など現行の制度を維持する」と理解を求めた。

「提供:建通新聞社」