トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2017/05/24

【岐阜】県2017年度事業展望 恵那土木事務所

 岐阜県恵那土木事務所は中津川市と恵那市を管内に持つ。地形的条件から河川災害が過去に発生しており、砂防整備や河川改修のさらなる促進が望まれる。また、2027年度のリニア中央新幹線開業に向けて、濃飛横断自動車道などアクセス道路の整備を進めていく。今井久朗所長に2017年度の事業計画を聞いた。(聞き手は岐阜支局=武藤省吾)恵那土木 今井久朗所長
 ――17年度の基本方針は。
 「『清流の国ぎふ』づくりや『県土整備ビジョン』を念頭に、『人や仕事を恵那に呼び込むための社会資本の整備』『強靱(きょうじん)な県土づくりの推進』『社会資本を支えるパートナーとの協働』を施策の3本柱として主要事業を推進する」
 「リニア中央新幹線の岐阜県駅が中津川市西部のJR美乃坂本駅付近に整備される。開業効果を中津川市周辺だけではなく、岐阜県全域に広げるためにリニア岐阜県駅へのアクセス道路整備が重要だ。県では濃飛横断自動車道中津川工区の5`区間を整備する。16年度に国の補助事業として事業採択された。同工区は沿線地域の生活圏拡大、主要都市や交通拠点へのアクセス改善、観光面での経済効果などを生み出すことも期待されており、リニア中央新幹線開業に合わせて供用できるように整備を進める」
 「また、災害時の応急対応ができるように災害対策機材を備蓄する施設の建設を恵那総合庁舎グラウンド内で進めている。8月の完成を予定している」
 ――主要事業について、道路整備は。
 「主要地方道豊田明智線(恵那市明知町大小屋)で線形改良を進めており、17年度は用地買収を継続する。また、国道418号下川原工区(恵那市上矢作町)では、道路拡幅の早期完了に向けて事業を進めている。国道256号中津川市上野〜下野地内の道路改良は、16年度末に中津川市上野工区が完成した。17年度は下野工区の改良を進める」
 「道路維持では、緊急輸送道路の国道256号弥栄橋(中津川市坂下、山口)と主要地方道福岡坂下線新田瀬橋(中津川市田瀬)の耐震補強工事を優先的に行う。また、国道257号東野大橋(恵那市東野) などの塗装や伸縮装置の補修を行う」
 「舗装補修では、アセットマネジメントに基づく優先度に従い、国道257号、418号、主要地方道恵那白川線などを整備する。道路パトロールに加え、MS(メンテナンスサポーター)制度など地域の住民と連携した道路維持活動も進め、安全かつ快適な道路環境を確保する」
 「交通安全では、通学路の歩道整備を優先的に進めている。主要地方道瑞浪上矢作線(恵那市山岡町下手向)、主要地方道多治見恵那線(恵那市三郷町佐々良木) で用地買収を進める。この他、早急に歩行者などの安全確保が必要な主要地方道中津川田立線(中津川市北野)で用地買収を進め、主要地方道福岡坂下線(中津川市上野)は工事に着手する」
 ――落石、急傾斜地崩壊対策は。
 「主要地方道瑞浪大野瀬線(恵那市串原閑羅瀬)、一般県道恵那八百津線(恵那市飯地町)などで用地買収を行い、主要な骨格幹線道路ネットワークや緊急輸送道路の雨量規制区間内にある要対策箇所の解消を進める」
 ――河川・砂防事業は。
 「河川は、前川(中津川市駒場)でJR中央本線下流側の河川改修を行う。また、リニア中央新幹線駅整備に伴う区画整理事業に合わせて、千旦林川(中津川市千旦林)で護岸工の設計を行う他、小里川(恵那市山岡町上手向)で明知鉄道山岡駅周辺の治水安全度を向上するため、市道橋架け替えを含めた検討を行う」
 「砂防は、災害発生時の避難所などを保全するため、宮洞谷(中津川市加子母)の砂防堰堤2基のうち1基を完成させ、もう1基も新たに工事着手する。福崎谷(中津川市加子母)は引き続き砂防堰堤工を進める。黒田川(中津川市阿木)は、用地測量を進め、寺洞川(恵那市笠置町)は用地測量に着手する。急傾斜地崩壊対策では、要配慮者利用施設がある渡合、番田工区(中津川市加子母)で工事を進める」
 「また、地域防災計画で避難所に指定されている上矢作振興事務所などを保全するため横吹2工区(恵那市上矢作町)で擁壁工事を進め、中野工区(中津川市付知町)は用地取得、工事着手を目指す。八重洞工区(恵那市山岡町)は新規で用地測量に着手する」
 ――地元建設業へメッセージを。
 「地域建設業は、社会資本の整備や維持管理、緊急時の復旧支援に不可欠なパートナーだ。中山間地域の多い当事務所管内では地域の安全、安心、雇用の確保、産業の維持発展に欠かせない。道路・河川・砂防の維持補修業務では、時間や曜日を問わず迅速に対応していただき、事故防止や道路利用者の安全確保につながっている。また、冬季は早朝からの除雪や凍結防止剤の散布作業、 除雪作業の効率化に向けた組合契約方式の取り組みなどに大変感謝している」
 「建設業を取り巻く経営環境は厳しいが、管内ではリニア中央新幹線岐阜県駅へのアクセス道路整備などリニアに関連した事業があるため、将来に期待が持てる。公共事業への地域のニーズは依然として高く、社会基盤の整備や老朽化が進む社会資本の維持管理など地域にとって必要な事業は多い」
 「17年度は、人材確保や育成、生産性向上への取り組みとして、今まで実施してきた若手、女性技術者育成支援モデル工事などに加えて、週休2日制モデルや環境改善モデル、ICT活用モデル工事などを予定している。引き続き県が行う事業への協力をお願いするとともに、若者や女性従事者が誇りを持って働ける業界になるように、お互いに力を合わせていきたい」

提供:建通新聞社(2017/05/24)