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建通新聞社(中部)
2017/06/07

【岐阜】県2017年度事業展望 岐阜土木、岐阜農林事務所

 県都岐阜市をはじめ、岐阜圏域の6市3町を管轄する岐阜県岐阜土木事務所と岐阜県岐阜農林事務所。県内の中心地では住民の生命と安全を守るため、さまざまな事業が積極的に展開されている。岐阜土木事務所の近藤真章所長と岐阜農林事務所の川瀬昭所長に2017年度の主な事業を聞いた。(聞き手は岐阜支局=高木敏之)

<岐阜土木事務所>

 ――主な道路建設事業について伺いたい。
 「東海環状自動車道関連では、管内に三つのインターチェンジ(IC)が予定されており、そのアクセス道路の整備が急務となっている。高富IC(仮称)のアクセス道路として、国道256号高富バイパスの工事を、岐阜IC(仮称)では、主要地方道岐阜美山線の大学北工区で工事を、折立工区では用地買収と新堀川に架かる橋梁の下部工に着手する」
 「また、糸貫IC(仮称)では、国道157号三橋工区で用地買収および改良工事を進める。揖斐土木事務所管内にある大野神戸IC(仮称)の関連では、主要地方道岐阜関ケ原線の本巣市宗慶から軽海までの延長約2・2`区間で4車線化工事を推進する」
 「愛知県との県境にある木曽川を渡河する2路線の事業も主要事業だ。一般県道扶桑各務原線の新愛岐道路は、岐阜県側の取り付け道路部を改良する。一般県道羽島稲沢線の新濃尾大橋(仮称)は、愛知県と連携して橋脚を施工するとともに岐阜県側の道路改良工事を進める」
 ――道路維持事業はどうか。
 「橋梁の維持管理は『岐阜県橋梁長寿命化修繕計画』に基づき、橋梁点検と補修工事を進めている。17年度は一般国道157号の新市場橋で伸縮装置補修工事の他、1カ所で事業を進める。橋梁耐震補強では、一般県道曽井中島美江寺大垣線の鷺田橋他3カ所で事業を進める」
 「舗装補修事業では主要地方道岐阜環状線などで補修を行う。また、交通安全対策関係では主要地方道岐阜巣南大野線などで工事を、災害防除関係では一般県道上白金真砂線他3路線で落石対策事業の進捗を図る」
 ――都市整備事業について伺いたい。
 「東海環状自動車道ICアクセスとして、岐阜市内および本巣市内の都市計画道路長良糸貫線は、用地取得と橋梁工事の進捗を図る。都市計画道路岐阜駅城田寺線は継続して用地取得を進める。また都市計画道路新所平島線は、用地取得とJR東海道本線交差部の設計などを進める」
 ――河川・砂防事業は。
 「河川関係では、『清流の国ぎふ』づくりとして、伊自良川や石田川で地域住民や専門家などで構成するベストリバー検討会で、治水・利水・河川環境に配慮した改修方策を検討し河川改修を進める」
 「境川は、17年度に岐阜市西川手地内で外輪橋架け替えの他、岐阜市下川手地内で上川原橋の架け替えなどを行う。瑞穂市内の犀川、山県市内の鳥羽川などは、掘削・護岸工事などを行う。河川構造物長寿命化・耐震化対策では、天神川排水機場の修繕や伊自良川の石谷逆水樋門の耐震対策工事などを進める」
 「砂防関係では、本巣市内の東山2で新規着手する他3カ所で事業を進める。また、急傾斜地崩壊対策事業では、岐阜市の北一色地内で新規着手する他4カ所で事業を進めていく」
 ――建設業に対してメッセージ。
 「社会資本整備の最も重要なパートナーであり、地域の建設業は、集中豪雨、台風や地震災害などの災害時支援や冬季交通確保のための除雪など地域の安全安心を支えていることから、今後もわれわれと共に技術の研さんを積み、より高い品質の社会基盤整備を地域住民の皆さんに提供できるよう頑張っていただきたい」
 「また、本年度は建設業を担う人材確保や育成、生産性向上のために、若手や女性技術者の育成支援モデル工事の他、週休2日制モデル工事やICT活用モデル工事などを実施していくので、積極的に参加をしていただきたい」

<岐阜農林事務所>

 ――農業農村整備事業について伺いたい。
 「ぎふ農業農村計画の基本方針の一つである『売れるブランドづくり』の取り組みとして、力強い農業を支える農業生産基盤の整備を推進する」
 「県営かんがい排水事業(保全合理化型)では、各務用水三期(岐阜市、関市、各務原市)、福富(岐阜市)、東沖(山県市)、木田(岐阜市)の各地区で用水路などの保全対策を実施し、施設の長寿命化を図る。その他、桑原二期地区(羽島市)では幹線用水路のパイプライン化工事を実施する」
 「県営水質保全対策事業では、羽島5期、6期地区(岐阜市、羽島市、各務原市、岐南町、笠松町)で東幹線のパイプライン化工事を実施する」
 「『住みよい農村づくり』の取り組みとして、『災害に強い農村づくり』を推進する。特に15年度からは岐阜県強靭化計画に基づき、農業用ため池、農業用排水機場の更新整備を計画的に実施しており、羽島市内の逆川1期地区では、排水機場の遊水池、監視システムの整備を進める。ため池等整備事業では、岐阜市内のあま池の堤体改修を行う」
 ――治山・林道事業についてはどうか。
 「第三期岐阜県森林づくり基本計画の『災害に強い森林づくり』を推進するため、緊急輸送路などの地震防災対策、治山ダムの機能強化、林道の点検診断・保全対策の支援、環境保全林の間伐などを推進する」
 「治山事業では公共、県単合わせて、岐阜市で1カ所、各務原市で1カ所、山県市で2カ所、本巣市で5カ所の合計9カ所で谷止工や山腹工などを県営で実施する他、県単補助治山を岐阜市で1カ所予定している」
 「林道事業では、伊自良〜根尾線の開設工事と美山線の改良工事を県営で進める。森林整備では、間伐約700fと森林作業道(森林管理路含む)延長約10`の実施を予定している」
 ――建設業界への期待、要望は。
 「建設業は、農業農村整備、治山林道整備など『地域の基盤整備』、災害時での対応など『安全で安心な暮らし』の確保、その他『環境の保全や創造』といった役割がある。特に災害関連では、本年1月に山県市で発生した鳥インフルエンザの防疫措置で、岐阜土木工業会が中心となって、掘削、運搬、埋却の作業を悪天候の中、昼夜を問わず実施されたことには深く感謝する」
 「一方で近年、建設投資の減少や受注競争の激化などにより、建設現場で働く技能労働者等の処遇悪化や高齢化に加え、若年入職者の減少並びに資材の高騰などにより円滑な施工の確保に苦慮していると聞いている。建設業の健全な発展のため、適正に予定価格を算定し、可能な限り上半期に発注し工期確保に努めるので、今後も安全第一と品質の高い施工を期待する」
 「また、皆さんのネットワークで治山施設など整備が必要な箇所の情報提供をお願いしたい」

提供:建通新聞社(2017/06/07)