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北陸工業新聞社
2017/06/27

【富山】とやま新機軸/地元の後継者育成に注力/県コンクリート診断士会会長安川榮志氏/「長寿命化へ新たな知識吸収」

 07年7月に設立した富山県コンクリート診断士会が今年で10周年の節目を迎え、8月25日に発足10周年記念行事が開催されることになった。
 同会はコンクリート診断士の技術力や社会的な評価、地位の向上のほか、コンクリート構造物の維持管理に貢献し、社会の発展と安全に寄与することを目的に設立。会発足時から会長を務める安川榮志氏は、「会ができるまでは、個人で診断業務を行っていたため、行政からの信用度が低かった。個人での活動ではだめということと、近県の石川と福井では既に会が発足しており、診断士間の技術情報の交換、勉強会への参加の必要性もあり、会を作ることになった」と経緯を説明する。
 さらに、「会発足時の正会員は40名。現在は正会員68人、賛助会員9社を含め77人と倍増した。今は診断書だけでなく、個々のヘルメットにも診断士会と会員の名前を記載している。バックに団体があることで、社会的な評価も徐々に高まりつつあり、行政や業界団体の新人教育の勉強会などに、会から講師として招かれるようにもなってきた」と振り返る。
 主な活動として現場見学会、塩害やASRなどの技術セミナーなどを挙げる。過去の現場見学会では、「個人ではまず入れない、立山砂防の現場も訪問することができた」。また、技術セミナーでは、「適材適所の補修方法を提案するため、補修材メーカーの担当者を講師に招き、最新の情報を理解するように努めている。コンクリート構造物の維持管理は今後の課題だが、外科的な治療の前に薬剤による内科的な治療が必要。長寿命化に向けた適切な提案を行うため、新たな知識を吸収し、診断業務に結び付けていくことが重要」と強調する。
 16年度は、全国組織である日本コンクリート診断士会(JCD)に加入。新たに「準会員」制度も設けた。「役員会の承認が得られれば、診断士の資格がなくても会員になれる。会費を納めることで、正会員と同等の活動に参加できる」とした上で、「人口減少社会に入り、診断士の減少が危惧される。診断士の資格試験の専門性も高まる中、会を存続させていくには、準会員の資格取得を支援するなど、地元の後継者育成が喫緊の課題。今後も官庁や関連業界、大学などの協力を受けながら、地域のコンクリート構造物の健全化に貢献できるよう邁進したい」と力を込める。

 やすかわ・えいし 1954(昭和29)年8月生まれの62歳。射水市(旧新湊市)港町出身。立山生コン、庄東生コンを経て、現在は富山東部生コン舟橋工場の品質管理責任者。富山県生コンクリート品質管理監査会議の監査統括責任者も務める。趣味は三味線と和太鼓。

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