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西日本建設新聞社
2017/06/28

【熊本】「再建・回復に建設業必要」 県が強靱化地域計画素案を策定

 熊本県は、国土強靱化地域計画の素案を策定し、26日の県議会建設常任委員会に報告した。熊本地震等を踏まえ、ハード・ソフト両施策を含めた総合的な防災体制を整備するもの。大規模災害発生後の再建・回復に必要な条件整備の一つに、「建設業における復旧・復興の担い手確保・育成」を盛り込んでいる。
 県地域計画は、国土強靱化基本法に基づき、今後起こり得る大規模自然災害に備えて策定する。国の基本計画に、県独自の地域特性や、熊本地震、熊本広域大水害など過去の災害の教訓を加味してとりまとめる。計画に基づく取り組みは、国の補助金交付等の判断材料になるという。
 素案によると、基本目標は@県民の生命を守るA県及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されるB県民の財産及び公共施設に係る被害の最小化C被災された方々の傷みの最小化D被災した場合も迅速な復旧復興を可能にするE九州を支える防災拠点として機能する―の6項目。
 主な推進方針としては、行政機能の確保やインフラ等の早期復旧、2次災害の回避など8項目について、それぞれ必要な施策を示している。
 県は、10月の計画策定を目指しており、7月にパブリックコメント(意見募集)を実施して広く県民の声を聞く予定。
 主な推進方針は次のとおり
【人命の保護】
▽住宅・宅地の耐震化
▽公共建築物や学校施設の非構造部材も含めた耐震化の促進
▽津波・高潮対策、防災対策に資する道路整備
▽防災情報周知、予防的避難等避難体制の整備、土砂災害特別警戒区域内の移転等の推進
【迅速な救助・救急、医療活動等】
▽救助・救急、物資輸送ルートの確保に向けた九州の縦軸・横軸のリダンダンシーの確保
▽自衛隊、警察、消防等の応援部隊の円滑な受入体制整備
▽指定避難所・福祉避難所の見直し、周知徹底、円滑な運営、要配慮者への支援
▽車中泊等、避難所外避難者の実態把握と情報・物資の提供体制確保
▽国のプッシュ型支援等を踏まえた物資供給体制整備
▽水・食料等の備蓄(自助)の推進、自主防災組織等の活動(共助)の強化
【広域防災拠点を含む行政機能の確保】
▽庁舎や広域防災拠点となる施設の非構造部材も含めた耐震性の強化
▽県や市町村の受援体制の強化、業務継続計画(BCP)の策定
▽防災拠点としての機能を有する施設の複数確保、九州各県との相互補完体制の構築
【情報通信機能の確保】
▽防災拠点施設等の非常用電源の整備推進、通信手段の機能強化
【経済活動における機能不全の回避】
▽事業者におけるBCPの策定支援
▽物資・エネルギー供給に向けた道路・港湾整備、空港の機能強化
【交通ネットワーク等の確保と早期復旧】
▽上下水道施設の耐震化、上下水道BCP策定、生活用水としての井戸水の活用
▽県内各地域や集落間を結ぶ道路の計画的な整備、橋梁等の耐震化
【制御不能な2次災害の回避】
▽沿道建築物の耐震化、無電柱化の推進
▽農業用ため池、ダム、砂防施設、道路防災施設の維持管理・更新
【地域社会・経済の迅速な再建・回復に必要な条件整備】
▽災害ボランティアとの連携、専門的知識や技術を持つ人材の確保・育成
▽建設業における復旧・復興の担い手確保・育成
▽コミュニティ・スクールによる地域と学校の連携強化

提供:西日本建設新聞社
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