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西日本建設新聞社
2017/08/18

【熊本】円滑な施工確保へ第三弾 県が入札方式など大幅見直し

 震災関連等工事の円滑な施工に向け熊本県は、「入札制度の見直し」「施工確保対策および市町村発注工事への支援」を決めた。7月、熊本県建設業協会の橋口光コ会長らが手島健司県土木部長に手渡した知事あての要望書にほぼ沿った格好。8月16日以降の入札公告等から適用する。
 昨年10月、今年2月に次ぐ第三弾となる。県・市町村の災害復旧等工事費約1700億円のうち、発注済みは3月末現在、工事費ベースで約31%。平成28年度の不調・不落の発生率は13・9%、29年度は6月末現在で34・4%と高く、特に被災3地域(熊本、上益城、阿蘇管内)で多い。
 繰越を中心に3地域の土木A1、A2の手持ち工事が約300件あり、技術者不足等が不調・不落の要因になっていると推察。29年度は昨年度を上回る工事が予定され、更なる不調・不落の増加が懸念されている。
 そのため「技術者不足への対応」「県内全域からの参加促進」「競争性を確保しつつ入札事務を迅速化・簡素化」を柱に見直した。
 入札方式の見直し(震災関連等土木一式工事)では、10億円以上に4者JVを新設した。A2業者も参加できる。7000万円以上3億円未満は総合評価落札方式の一般競争だったが、入札条件に施工実績を求める場合以外は総合評価を採用しない。被災3地域ではA2対象の指名競争で、管内10者+隣接5者を指名していたが、3000万円以上について初回は管内の一般競争とし、再入札の場合、全県対象の一般競争とする。
 土木一式では通常工事も見直し。A2対象3000万円以上7000万円未満の一般競争について、入札条件に施工実績を求める場合以外は総合評価を採用しない。
 法面・舗装工事の震災関連等工事では、7000万円以上の総合評価について、全て簡易型Uで評価する。
 詳細は次のとおり
【入札制度の見直し】
 ▼発注ロット拡大=工事個所が近接し、合併可能な工事は、「合併方式」で1工事として発注する(契約は1契約となり、技術者1人を配置。諸経費は施工箇所の距離により、諸経費の全て又は一般管理費のみを調整)
 ▼入札方式等の見直し=@被災3地域の入札方式の見直し(表参照)A条件付き一般競争入札の総合評価落札方式の見直し(表参照)
 ▼1者入札の取扱い=震災関連等工事の一般競争入札は、当分の間、原則1者入札可。ただし、談合情報が寄せられるなど不自然な入札の増加について、入札監視委から指摘等があった場合は、1者入札不可に戻す
【施工確保対策および市町村発注工事への支援】
 ▼復興歩掛の拡大・復興係数の嵩上げ要望=被災地域において、工事量増大による建設労働者や資機材等の不足による更なる作業量・作業効率の低下等に対する工事費の増加を適切に設計価格に反映するため、国に復興歩掛の拡大と復興係数の嵩上げを要望する
 ▼災害復旧工事の変更協議の簡素化=災害復旧事業での「軽微な変更の内容を超えるもの(重変)」の変更協議を簡素化し、事務負担の軽減・変更協議期間の短縮を図るため、国と協議する
 ▼市町村工事への要請=市町村の小規模な災害関係工事の大量な発注により不調・不落が発生しており、特に県のB、C等級相当の業者不足に対応するため、町外の建設企業が工事に参加するよう、業界に呼び掛け。併せて、市町村には、遠隔地からの業者への宿泊場所の確保など環境整備を要請する。

提供:西日本建設新聞社
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