トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(茨城)
2017/09/05

【茨城】ICTは精度・時間ともに優秀/「従来+ICT」は精度向上が肝/ICTモデル工事検証結果

 茨城県が発注したICTモデル工事のうち、佐々木建設梶i土浦市)が進めるつくば市内の宅地造成工事で実施したICT施工の効果検証結果が明らかになった。バックホウによる法面整形では、従来施工、ICT施工、従来+ICT(図参照)の3パターンを比較。ICT施工が精度、作業時間ともに従来施工を上回った。従来+ICTは、ICT施工とほぼ同じ時間での施工が可能な上、精度を高めるために「切り出し位置を示す水糸を1本張る」方策が現場で編み出された。整形に秀でているICT建機の特徴を生かしながら、従来建機とともに無駄なく稼動させることが、作業効率の向上、工期短縮への近道となりそうだ。
 この工事は、昨年度に県が発注した施工者内容協議型のICTモデル工事で、掘削1万7200立方m、盛土3万7600立方mの宅地造成工事。多くの宅盤(約20区画)が存在し、従来施工では丁張設置などに多大な時間と労力が必要となるため、3次元起工測量、MCバックホウを導入した掘削および法面整形作業、MCブルトーザによる敷均しなどを活用し工事を進めている。
 バックホウによる掘削では、従来施工とICT施工でそれぞれ出来上がり面の高さをTSにより計測。設計値との精度および施工時間を比較した。
 ICT施工による掘削は、設計データを一度作成すると、丁張計算や丁張設置の時間が必要無くなるため「丁張計算・設置時間−データ作成時間=削減時間」となる。そのため施工エリアが広ければ広いほど恩恵を得られ、今回の現場のように施工エリアが広く、宅盤数も多いと時間削減効果が期待できる。掘削時間のみを見ても、ICT施工が従来施工を上回った。
 また、丁張の設置作業には複数人必要だが、ICT施工はオペレータのみのため、人工の削減が可能となる。
 バックホウによる法面整形は、@従来施工AICT施工B従来+ICTの3パターンで調査。作業時間については、AICT施工とB従来+ICTがほぼ同じで、従来施工よりも約80分短縮となった。
 施工精度を見ると、±5pの箇所数は@従来施工が55点中27点、AICT施工が同1点、B従来+ICTが同20点となった。なお従来施工では、±10pを超えた箇所があったが、従来+ICTは無かった。
 検証の際、従来+ICTはICT建機で整形した箇所を丁張代わりとし、目視によって従来建機で施工した。現場ではその後、さらに精度が高く、効率の良い方法を追求。従来建機での施工前に「切り出し位置を示す水糸を1本張る方法」が編み出され、現場レベルでは精度の向上も確認されている上、作業時間も最も短くなったという。
 今回の検証で、ICT施工の精度の高さと作業効率の良さがあらためて分かったほか、従来+ICTが、それなりの精度と時間で作業できるめどが立った。
 例えば、宅盤施工をICT施工で行う際は、単純な施工場所は、先にICT建機で数箇所を整形。それを活用し従来機械で残りを施工している間に、ICT建機は次の複雑な宅盤の施工に用いるなど、建機の特徴を生かしながら、無駄なく活用することで、作業の効率化、工期の短縮が期待できそうだ。
 現場代理人を務める佐々木建設工事部の高木行男課長は、ICT施工について「これだけ土量のある現場で丁張が無いメリットは大きい」とした上で「オペレータが毎日モニターを見ているので、現場を把握しており、より良い工事の進め方などを示してくれたりする。オペレータのやる気にもつながっている」と、3次元で見えることによる効果も話した。また実際に使用し、便利さを実感しているだけに「ネックは金額。ICT建機がより普及し、金額が下がってくれれば」と期待を込めた。
 なおUAVによる起工測量や数量計算については、土量計算の測量作業がなくなり、人工の大幅削減が可能となる上、より正確な土量を取得することができるメリットがある。しかし、計測コストが割高なため、従来計測と組み合わせた活用も検討すべきとなった。
 県は昨年度に、施工者内容協議型のICTモデル工事を2件発注するとともに、いばらきICTモデル工事支援協議会を設立。地元建設業者へのICT施工に関する支援や中小規模工事におけるICT活用効果の検証、広報などの普及活動により、建設産業の生産性向上に取り組んでいる。今回のICT施工による効果検証は、協議会メンバーの日本建設機械施工協会施工技術総合研究所が支援した。
 県が昨年度に発注した施工者内容協議型のモデル工事を皮切りに、県内では今後ICTの普及拡大が予想される。それぞれの現場で創意工夫をしながら、従来型と上手に組み合わせて、ICT施工が持つ能力を最大限に発揮すること。その前段として、効率の良い工程を組むことが、工期短縮に向けた近道となりそうだ。