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北陸工業新聞社
2017/09/12

【富山】農地整備は営農継続の大前提/県富山農林振興センター所長大橋雅樹氏/「地元本位で事業推進へ」

 富山県富山農林振興センターは、富山市、上市町、立山町、舟橋村を所管区域に、農地林務関係事業を展開している。耕地面積は約1万8563ヘクタールで、豊富な水を利用した稲作中心の農業が行われ、森林は管内総面積の約72%にあたる約12万9771ヘクタール。
 農業農村整備事業について、「農業の体質強化を図る生産基盤の整備をはじめ、老朽化した用水路等の長寿命化対策、広域農道の保全対策などを推進している」と説明。森林整備では、土砂災害から住民や県土を守る治山事業、林業の生産基盤を整備する林道事業、山岳地域の環境を守る自然公園事業を挙げ、農林業をハード面から総合的に支援している。今後は、「水橋エリアを中心にほ場整備の要望が多く、農地の大区画化に取り組む」との方針を示し、農地集積や担い手の育成につなげる。「中山間地低部に、ため池が多く存在し、耐震対策を図る。中山間地の用水路では、老朽化に伴い、防災減災事業に取り組んでいく」と安全・安心な農村空間の確保を目指す。農業用水を活用した小水力発電についても積極的に推進していく。
 生産物価格の低迷や米政策の見直し、就業人口の減少・高齢化、成長産業化など農業を取り巻く環境は大きく変化してきており、「地域農業をどうしていくのかを考える決断の時期を迎えている」と強調。「区画が小さく、農道が狭く、用排水が不備な状況では、農業をやることができない。農地整備は、営農継続の大前提」と捉え、農業生産基盤の整備促進に全力を注ぐ。管内7地区でほ場整備や土地改良総合整備事業を進めており、今年度から上条中部、小長沢の2地区で新規着手する。
 事業推進にあたり、「地元がどんなことに困っているのか、自分たちの地域をどうしたいと思っているのか。地元のニーズをしっかりと受け止めることが大切」と指摘した上で、「どんな事業を適用させたら地元負担が少なくなるか知恵を絞り、徹底的に地元の役に立たなければならない」と説き、地元本位の徹底を訴える。元石川県羽咋市役所職員、高野誠鮮さんの著書『ローマ法王に米を食べさせた男』にある「役に立ってこそ役人」の言葉に強く共感。「役所にいるから役人ではなく、役に立つから役人」と受け止め、「地元の要望、期待に応え、事業を通してその実現に努めていきたい」と力を込める。
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 おおはし・まさき 1959年南砺市出身。82年に入庁し、農村整備課長、高岡農林振興センター所長などを経て、4月から現職。57歳。趣味は映画鑑賞。

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