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西日本建設新聞社
2017/09/28

【熊本】本紙企画「TADAIMA注目」 地盤総研らが微動探査を共同開発 地震時の揺れやすさ計測

 簡単に住宅地の地盤の揺れやすさがわかる画期的な調査法「微動探査」が開発された。地盤ネット総合研究所(地盤総研)、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)、白山工業の共同研究によって、これまで難しかった個別宅地での微動探査を可能にした。熊本地震では、建物の倒壊など大きな被害が発生しただけに、今後注目を集めそうだ。
 微動探査とは、体感できないほど僅かに振動している地盤の動き(常時微動)を高精度の地震計(微動計)で観測し、S波の地盤中の伝わりやすさを調べ、地盤の揺れやすさ(表層地盤増幅率)、特定周期の揺れ方(卓越周期)を評価する手法。
 調査は、60a半径の円内に4台の測定器(微動計)を北向きに設置するだけ。地面を掘削せず、騒音、振動、排気も一切出ない。既存住宅の車庫スペースなどコンクリート面に置いても計測できるので、耐震リフォームの提案にも活用できる。
 住宅地での一般的な地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験(SWS)などで平時の常時荷重を検討するが、微動探査を併用することで、地震時の揺れの特性を知った土地選び、家づくり、耐震補強が可能となる。
 25日には、熊本市中央区のモデル住宅新築工事現場で微動探査が公開された。16分で測定を終え、データはリアルタイムで防災科研に送られ、3日程度で調査結果をまとめる。地盤総研の服部元宣開発統括本部長らは「SWSによる地盤調査、地盤改良、地盤保証で十分とは言い切れず、地震での揺れやすさがわかって初めて地震対策が検討できる」と話す。熊本地震直後に益城町で現地調査し、揺れやすい地盤での家屋被害が集中していたという。地盤総研では今後、住宅建築会社や設計事務所、自治体に対し微動探査の有用性を提案していく。

提供:西日本建設新聞社
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