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建通新聞社(東京)
2017/10/10

【東京】都 公営企業3局も10月末に入契改革試行開始

 東京都財務局が行っている入札契約制度改革の試行が、知事部局全体と交通局・水道局・下水道局の公営企業3局に拡大する。予定価格事後公表については、競争入札を行う予定価格250万円以上の全ての工事で実施する。予定価格が一定規模以上の工事で、JV(共同企業体)結成義務の廃止や1者入札の中止、低入札価格調査制度を取り入れる。10月30日以降に公告・公表する工事案件からスタートする。
 都が入札契約制度改革の実施方針に基づく制度改革として工事案件で行う試行の内容は、@予定価格の事後公表AJV結成義務の廃止B1者入札の中止C低入札価格調査制度の運用範囲の拡大―の大きく4点。6月から財務局契約の比較的大型の案件で先行して試行していたが、これを全庁に拡大する。
 予定価格については、予定価格250万円以上の工事案件で事後公表に切り替える。これに合わせ最低制限価格と調査基準価格も事後公表する。電子調達システム上に大まかな発注規模(予算)を記載する他、入札参加者が積算に必要な時間を確保するため、契約手続き期間を現行よりも延長する。併せて図面の詳細化や積算内訳書での数量表示、工程表の公表など設計図書を詳細化する。
 JV結成の義務は、予定価格が6億円以上の建築、5億円以上の土木(橋梁・河川・水道施設・下水道施設・一般土木)、2億5000万円以上の設備(電気・給排水衛生5・空調)で廃止し、JV(原則3者以内)と単体企業のどちらでも参加できる混合入札にする。総合評価方式を取り入れた工事では、中小企業が構成員となるJVに加点する。
 1者入札の中止については、財務局が契約する案件(予定価格が建築工事3億5000万円以上、土木工事2億5000万円以上、設備工事4000万円以上)で試行しているが、公営企業3局もこの基準額で試行する。入札参加希望者が1者以下だった場合は開札せず中止し、入札参加資格を見直して再入札する。再入札の際は参加希望者が1者でも開札する。
 低入札価格調査制度は、財務局と公営企業3局が契約する案件のうち予定価格が「建築4億4000万円以上」「土木3億5000万円以上」「設備2億5000万円以上」の工事と、総合評価方式を採用する工事に適用する。調査基準価格を下回る応札があった場合、数値的失格基準(必要な経費の計上割合が一定の基準以下)や工事成績失格基準(過去の工事成績評定で65点未満)に抵触すれば失格にする。調査時の書類の不備についても「一切認めず」失格とする。総合評価入札のうち基準額未満の工事については、失格基準を適用する。

「ひとくちメモ」
 3月末に都政改革本部と都がまとめた「入札契約制度改革の実施方針」と同様、今回の公営企業3局と、財務局以外の知事部局での試行も、都議会での議論や業界の声を反映することなくスタートする。小池百合子知事は議会で「試行内容を検証する」「業界意見を聞く」などと答弁してきたが、財務局での試行内容の検証がなされず、試行後の界意見の反映がないまま対象を拡大すれば、業界や議会の反発は必至だ。財務局の試行では1者入札の中止などによる再入札で、公共工事の遅延が現実の問題になりつつある。低価格競争への誘導や工期の遅れのしわ寄せを危惧する業界に、改めて十分な説明が必要だろう。

提供:建通新聞社