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建通新聞社(東京)
2017/10/18

【東京】都 災害復旧など1者入札中止の扱い再検討

 東京都財務局は、入札契約制度改革に伴う対応として、災害復旧や入札参加者が限られる特殊な工事について、1者入札中止の取り扱いを検討する。また、業界団体からの意見聴取について、試行の検証作業と並行して2018年1月ごろ実施する考えだ。10月17日に開かれた都議会財政委員会で、薄井浩一氏(公明党)の質問に五十嵐律契約調整担当部長が答えた。
 薄井氏は、多発する災害への備えや災害発生時の迅速な対応が重要だと述べた上で、1者入札の中止による事業遅延の影響を懸念し、今後の対応を聞いた。
 五十嵐部長は「事業の停滞による都民生活への影響を最小限に抑えることが必要」だとし、災害復旧や特殊な工法など入札参加者が少ないことが想定される案件については「1者入札中止の取り扱いを今後検討する」と答えた。
 薄井氏はまた、JV結成義務の廃止により、中小企業の受注機会と技術力向上の機会が減少することを不安視し、都の考えを聞いた。
 五十嵐部長は「中小企業の育成や受注機会の確保は重要な視点。総合評価での加点措置や、一定の施工能力を持つ中小事業者が単体で入札参加できる措置を講じている」と述べた上で、「今後の試行の検証作業の中で、これらとともに技術力向上の視点も加えて、JV結成義務廃止の影響や課題を探る」と答弁した。
 また、試行の十分な検証と合わせて業界の声をきちんと反映すべきだとの薄井氏の指摘に対し、五十嵐部長は「例年1月ごろ実施している建設業界団体との意見交換の中で、制度改革に対する声を改めて確認する」と述べた。
 伊藤祥広氏(都議会自民党)は、1者入札の中止に関連し「99%の落札率が不透明だと言うのであれば、妥当な落札率とは何%なのか」と質問。
 これに対し五十嵐部長は「適正な競争が行われている限り、落札率は99%でも問題はない。競争が行われていることを“見える化”することが重要だ」と答えた。
 伊藤氏は、電子調達システム上では他の入札参加者の状況が分からないため、1者であっても競争は確保されていると指摘。事業遅延などの影響を懸念すべきだとした。
 五十嵐部長は、9月末現在で1者入札中止の対象となる案件168件のうち31件を「希望者1者以下」だったため中止にしたと説明。「入札参加の状況や事業執行への影響を十分に検証していく」との考えを示した。
 尾島紘平氏(都民ファーストの会)は、入札契約制度改革の必要性を認めつつ、中小建設業の不安の声が多いと指摘。試行内容の十分な検証と業界意見の反映を求めた。
 これに対し武市敬財務局長は、「4月と5月に実施した業界団体からの意見聴取では多くの疑問や指摘を受け、低入札価格調査制度の適用範囲を見直した」と説明。同局による試行の検証作業と合わせ「入札監視委員会での有識者の声、さらに業界の声を反映して本格実施に備える」と答弁した。

提供:建通新聞社