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日本工業経済新聞社(茨城)
2017/10/17

【茨城】公共事業費は所要額受け付け/県が来年度当初予算要求基本方針示す

 県総務部財政課は16日、来年度予算要求の基本方針を各部局に説明した。大井川和彦知事就任後、初の本格的な予算編成に向けた要求となる今回は、一般経費で要求上限を設けない知事特認枠を新設するほか、2003年から15年連続で実施していたマイナスシーリングを取りやめ、ゼロシーリングとする。前年度、ゼロシーリングとしていた公共事業費は、所要額の要求を受け付けることとした。
 国・地方財政の状況としては、本年8月に総務省から示された地方財政収支の仮試算によると、歳入面での大幅な増は見込めず、実質的には本年度と同水準となる見込み。地方の基金残高が増加していることもあり、今後の地方財政対策の動向は不透明な状況。併せて社会保障関係費の増加や公共施設等の老朽化への対応などにより、地方の財政負担増大は今後も増えていくことが見込まれている。
 茨城県の状況としては、人口減少・超高齢化時代を迎える中で、この10年間が県の未来を決める大事な時期となることから、諦めず、常識を疑い、自ら変わる勇気を持って、挑戦することが求められている。そのために事務事業のゼロベースでの総点検、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、「選択と集中」によるメリハリのある財政運営をしていくことが求められている。
 大井川和彦知事就任後、初の本格的な予算編成に向けた要求となる今回は「活力があり、県民が日本一幸せな県」を創造していくため、3つの要求基本方針(@新たなビジョンに基づく施策展開Aあらゆる歳出の大胆な「質の転換」B新たな歳入確保対策の推進)を明示。このうち、@新たなビジョンに基づく施策展開では、新たな県政ビジョンの策定を進めるとともに、知事特認枠を設定。「新しい豊かさ」「新しい安心安全」「新しい人財育成」「新しい夢・希望」の4つの新しい茨城づくりを強力に推進するほか、若手の発想力を積極的に活用した施策を創造する。
 Aあらゆる歳出の大胆な「質の転換」では、施策の硬直化を徹底して排除し、新たな発想による施策を大胆に展開。県と市町村などとの役割分担も適正化していく。
 B新たな歳入確保対策では、国庫支出金や外部資金の積極的な活用により県の負担をできる限り減らす一方で、大きな事業量を確保していく。地方創生推進交付金は最大限活用する。
 最優先課題としては、教育の推進、地域医療の充実、質の高い雇用の創出に取り組み「茨城に住みたい、住み続けたい人」を増やしていく。
 この大きな方向性のもとに、18年度の予算要求基本方針として、一般経費で要求上限を設定しない知事特認枠を新設する。従前の重要政策等特別枠では、要求が増えすぎないよう上限を100億円に設定していたが、今回は、制限なく事業を考えてもらえるよう上限を撤廃した。
 2003年から15年連続で実施していたマイナスシーリングは取りやめ、ゼロシーリングとする。また前例にとらわれないスクラップ・アンド・ビルドを行い、新たな施策に取り組んでいく。昨年度にゼロシーリングとしていた公共事業費は、所要額の要求を受け付ける。本年度当初予算(歳出額)は1192億円。
 各部局からの予算要求を11月上旬に締め切った後、財務省の内示や総務省の地方財政計画の発表を経て、来年度予算を決定する。