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日本工業経済新聞社(茨城)
2017/11/10

【茨城】防潮堤は鋼管杭RC壁/前面20m、側面18m/全長1・7q、L3埋設施設は囲わず/東海第二原発

 日本原子力発電鰍ヘ、東海第二発電所(東海村白方)の新規制基準への対応で、2014年から原子力規制委員会により進められてきた適合性確認審査の内容を反映した原子炉設置変更許可申請の補正書を8日に同委員会へ提出した。当初申請で標高18m以上としていた防潮堤は、前面を標高20m、側面を標高18mで建設。ルートの全長は約2・2qから約1・7qに変更した。さらに、総延長の約8割をセメント固化盛土とする計画だったが、より強固な「鋼管杭鉄筋コンクリート防潮壁」に変更した。
 東海第二発電所は東日本大震災で自動停止後、11年5月21日から定期検査に入っている。14年5月に新規制基準への適合性確認審査を原子力規制委員会へ申請し、現在さまざまな観点から審査が行われている。
 今回の補正書は、これまでの審査を通じて安全対策に追加や変更が生じたことから、当初申請を修正したもの。
 津波への対応として建設する防潮堤は、前面が標高20m、側面が標高18m。当初申請では、総延長の約8割をセメント固化盛土とする計画だったが、より強固で十分な支持性能を有する鋼管杭鉄筋コンクリート防潮壁に変更した。鋼管杭鉄筋コンクリート防潮壁は、鋼管杭を地表から約60m下の岩盤まで到達させて支持する構造とし、表層地盤は、津波による洗掘防止や地盤の強制的な液状化を仮定した対策として、地盤改良を行う。
 また、当初申請では全長を約2・2qとしていたが、地盤改良によってL3埋設施設(低レベル放射性廃棄物のうち放射能レベルが極めて低いものを埋設予定)の地下水の流れに影響を及ぼす可能性があるため、同施設を囲わないルートに変更。全長は約1・7qとなる。
 このほか、内部火災への対応で、非難燃ケーブルを使用している部分の火災防護対策を、防火塗料の塗布から「難燃ケーブルへの取り替えと防火シートでの被覆」の複合策に変更した。
 格納容器破損防止への対応では、中央制御室から遠隔による弁の開閉操作が不可能な場合に備え、被ばくを低減できる部屋において人力で弁の開閉ができる遠隔人力操作機構を設置。さらに、既存の設備による格納容器の冷却ができない事態に備え、代替循環冷却系ポンプ2系統を新たに整備する。
 防潮堤を越える津波が襲来し、敷地に遡上した場合を想定した対応も追加。原子炉建屋をはじめ、緊急用海水系(緊急用海水ポンプ)など、津波が遡上する可能性がある安全上重要な施設を水密化する。
 加えて、常設代替高圧電源装置や可搬型重大事故等対処設備(可搬型代替低圧電源車や可搬型代替注水大型ポンプなど)の保管場所、緊急時対策所(耐震構造)を津波の影響を受けない高所に設置する。
 なお、工事計画認可の補正申請は月内に第1回を予定。原発の運転期間である原則40年の期限を迎える来年11月前に認可を得られるよう、対応を図っていく。