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建設経済新聞社
2017/12/04

【京都】民泊適正運営へ独自ルール案 届出前に計画説明等求める

 住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)の30年6月の施行を見据え、京都市は、「民泊」の適正な運営等に係る独自ルール案(条例等素案)をまとめた。
 独自ルール案によると、市内の住居専用地域では、3月から12月までは営業してはならない期間とし、これにより営業期間は1月と2月に限定、営業日数の上限は約60日となる。ただし、いわゆる家主居住型の民泊や市が定めた基準を満たす京町家で実施する民泊は除く。
 民泊の事業者の条件として、家主居住型は営業届出までに3ヵ月以上継続して事業者が居住することを求める。
 民泊を行う事業者が日本国内に住んでいない等の場合は、日本国内に営業の管理を行う代理人を置くこと等で市の指導監督等に適切に対応できる体制を設けることを求める。
 適正な管理運営のためのルールでは、緊急時や苦情又は問い合わせに対応するための体制(「駆けつけ要件」の設定)として、民泊管理業務を行う者は、原則、営業時間中は管理業務を行う施設内に駐在することとし、これができない場合は緊急時や届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合わせについて迅速に駆けつけ、適切に対応できる範囲に事業者が駐在し又は管理者を駐在することを求める。迅速に駆けつけ、適切に対応できる範囲は営業の届出があった客室から概ね800m以内、かつ、概ね10分以内を目安とする。
 事業者に対し、周辺住民が宿泊者を識別することができるようゲストパス(身分証)の交付を求める。
 民泊の届出を提出する前に、地元自治会や周辺住民等に事業計画の説明を行うとともに、施設又はその敷地内の見やすい場所に事業計画の掲示を求める。
 京町家を活用する民泊についてもルールを定める。住居専用地域にある京町家のうち、京都市京町家の保全及び継承に関する条例に規定された京町家であること、建物の外観及び内部において伝統的な形態及び意匠を有するなど市が認定したもの、宿泊者定員は10人未満(1組に限る)などの基準を満たすものは、営業期間の制限(3月〜12月の営業制限)を行わず、通年で180日まで営業可能とする。
 京町家の一棟貸しや農家民宿など旅館業法に基づく民泊にも独自ルールを適用する考え。
 条例違反者には5万円以下の過料を課す。
 独自ルール案については12月5日から30年1月12日まで市民等から意見を募るパブリックコメントを行う。
 その後、30年2月市会に条例案を提出する予定。3月15日に準備行為(届出)を開始し、6月15日からの本格施行を目指す。
      ◇
 30年度当初予算編成における要求で、保健福祉局は「民泊」対策事業に7500万円を要求。民泊に対する通報等の受付・監視や違法・不適切な民泊に対する指導の更なる強化を図る考え。
 消防局は民泊等に対する防火対策の推進に300万円を要求。新たに営業を開始する民泊が消防法令に適合するよう指導を徹底するとともに、既に営業している民泊に対する立入検査を強化し、宿泊者及び周辺住民の安心・安全を確保する考え。