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西日本建設新聞社
2017/12/13

【熊本】国交省直轄で阿蘇砂防事業 事業費150億円

 阿蘇地域の土砂災害対策を平成30年度から国直轄事業で実施する見通しとなった。九州地方整備局は12日、ザ・ニューホテルで計画段階評価に関する有識者委員会(委員長・北園芳人熊本大学名誉教授)の初会合を開き、カルデラ内の土砂災害対策は砂防堰堤での整備が妥当と判断、総事業費は約150億円と想定した。
 阿蘇地域は、2年の豪雨災害や24年7月九州北部豪雨、28年熊本地震など、これまで繰り返し甚大な土砂災害が発生している。直轄対象とする阿蘇市、高森町、南阿蘇村は斜面傾斜30度以上の切り立ったカルデラ内壁に囲まれ、中央火口丘群は急傾斜。地質は火山岩類や崖錐堆積物が広く分布し、事業区域の面積約37%が土石流危険渓流となっている。
 これまで県は砂防堰堤などにより対策を行ってきたが、抜本的かつ集中的な整備が必要とされ、熊本地震とその後の大雨で地盤が緩み、災害の危険性が高まっていた。
 委員会は、火山・地質や防災・地盤工学、砂防学、土砂災害対策などの有識者6人で構成し、九地整が提示する対応方針案にアドバイスするもの。
 方針案の1次選定ではハード対策として▽山腹保全工▽砂防堰堤工▽渓流保全工▽遊砂地工▽導流工▽土砂掘削―の6案を提示。実現可能な案として山腹保全工と砂防堰堤工の2案を選定した。ソフト対策では土石流被害が想定される区域の家屋移転を選出した。
 2次選定では、ハードとソフトから抽出した3案を比較検討。効果、安全度、費用、実現性など8項目を総合評価し、費用が約150億円で、他案(山腹工約770億円、家屋移転約190億円)と比べ安価で既往の技術で対応可能なことや、県が対象地域で建設した堰堤の整備効果や確実性・適応性が高かったことなども加味し、「堰堤工」を中心に整備する案が妥当と判断した。
 今後のスケジュールとして九地整は「年度内にも新規事業採択時評価を受け、30年度の事業採択・予算化を目指す」と話す。事業期間や堰堤数などについては非公表。九地整管内で実施する計画段階評価において砂防事業は初の手続きとしている。

提供:西日本建設新聞社
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