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建通新聞社(神奈川)
2017/12/22

【神奈川】県ら 新たな事業者支援を開始へ 地域未来投資促進法

 神奈川県と県内市町村は、地域特性を生かした成長性の高い産業・事業者を支援するため、「地域未来投資促進法」に基づく取り組みを2018年度にスタートさせる考え。地域経済に効果をもたらす事業計画には設備投資への減税措置といった、さまざまな支援が講じられる。対象とする事業は「成長ものづくり」や「環境・エネルギー」など9分野。18〜20年度の3年間で合計27件程度の事業創出を見込んでおり、年度ごとに事業計画を募集することにしている。
 地域未来投資促進法は、成長分野などに取り組む地域の事業者を後押しすることを目的に、企業立地促進法を抜本改正したもの。今年7月31日に施行した。
 都道府県は基本計画(18〜22年度)を策定し、その内容に沿った民間事業者の取り組み(地域経済牽引事業)を承認することになる。事業者には、設備投資に対する減税措置(国)、地方創生推進交付金の活用(国と県、または市町村)、専門人材による人的支援(国)、工場立地法の緑地面積率緩和(市町村)、農地転用許可・市街化調整区域の開発許可などに関わる配慮(県、政令市、中核市など)といった支援メニューが用意される。
 神奈川県内では、県と19市13町1村が共同で基本計画の策定手続きを進めている段階で、このほど素案をまとめた。それによると、計画区域は県内全域とし、▽ライフサイエンス▽ロボット▽環境・エネルギー▽観光▽第4次産業革命関連▽成長ものづくり(自動車・航空機部品など関連産業の集積活用、企業・大学・研究機関の高度技術を活用)▽特産物を活用した6次産業―といった分野を対象とする。
 経済的効果の目標としては、地域経済牽引事業による付加価値(売上高 − 費用総額 + 給与総額 + 租税公課)の創出額17億8200万円を掲げている。県内の1事業所当たり平均付加価値額が年間6600万円であることを踏まえたもので、毎年度、1分野につき1件程度の事業を承認していく方針だ。
 地域経済牽引事業の実施後は、促進区域(自然環境保全地域などを除く県内全域)に所在する事業者間の取引額10%増、売り上げ10%増、雇用数5%増といった効果を見込む。
 県内には、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区でのライフサイエンス関連企業・研究機関の集積、さがみロボット産業特区での実証フィールド整備など、成長分野の産業・企業が育ちやすい環境づくりが進んでいる。地域未来投資促進法に基づく新たな取り組みは、こうした企業の立地や設備投資、雇用などを後押しすることになりそうだ。
 なお、国は、当面3年間で2000社程度を支援し、投資額を1兆円、国内総生産(GDP)を5兆円増大させることを目指すとしている。これまでに同意した基本計画は全国39道府県の合計70計画。

提供:建通新聞社