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建設経済新聞社
2017/12/25

【京都】5230mの新導水トンネル築造 WTOで総合評価、特定JV 付帯工事含め概算約200億円

 京都市上下水道局は22日、新山科浄水場導水トンネル築造工事について、工事概要や今後のスケジュールを明らかにした。
 2012年度末の山ノ内浄水場廃止により、蹴上浄水場、松ケ崎浄水場、新山科浄水場の3浄水場体制となり、給水量の約半分を担う新山科浄水場の重要度が増した。新山科浄水場は原水を山科区の日ノ岡取水池から約4・5qの導水トンネルを通じて原水を取り入れている。第3次被害想定では耐震上問題はないが、系統が1本しかなく、内部を点検するために止めることもできないため、トンネルを新たに掘り、2系統化して災害時でも安定供給を図る。
 工事概要によると、新山科浄水場に発進立坑を設置し、蹴上取水池までシールド工法で新導水トンネルを築造する。また新山科浄水場と蹴上取水池において、既存の施設と連絡させる管路等の整備を行う付帯工事を別途実施する。
 工事場所は山科区勧修寺丸山町(新山科浄水場)〜山科区日ノ岡一切経谷町(蹴上取水池)。
 新導水トンネルのルートは施工性や経済性を考慮し、道路幅の狭い公道を避け、一部民地を通るルートを採用する。新導水トンネルの延長は5230m。深さは山間部が50m〜170m程度、公道部が20m〜70m程度。
 新導水トンネルは、トンネルの壁となるパネル(セグメント)を組み立てた一次覆工の内側に内挿管を布設した耐震性を有する構造とする(外側から一次覆工(セグメント)→エアモルタル充填→口径2・6mの内挿管)。
 新山科浄水場に発進立坑(円形、内径約13m)、蹴上取水池内に到達立坑(円形、内径約5m)を設置する。
 主な工事は、シールド工としてシールド工法でトンネルを掘削する。セグメント外径は3・8m。内挿管布設工としてトンネル内に内挿管(口径2・6m)を布設する。立坑内に鉄筋コンクリート構造物(発進側は円形・内径約5m、到達側は円形・内径約4m)を築造する。
 予定工期は2017年度(平成29年度)〜2027年度。
 概算事業費は付帯工事を含め約200億円を見込む。厚生労働省の生活基盤施設耐震化等交付金(交付率1/3以内)の対象事業。
 入札は一般競争(総合評価落札方式)で公告する。特定建設工事JVによる共同施工方式とする。政府調達協定(WTO)の対象。
 12月に入札公告し、2017年度中に契約締結の予定。2024年度〜2027年度に付帯工事を実施し、2028年度以降に新導水トンネルの運用を開始する。既設導水トンネルは取水停止後、内部調査等を実施する。
 新山科浄水場第2導水トンネル築造工事に伴う測量、調査及び設計はパシフィックコンサルタンツ(京都市下京区)が担当。
 上下水道局の次期経営ビジョンにおける目標値では、導水施設の耐震化率を2017年度の26・8%(見込み)から、2027年度末に62%を目標としている。