トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日刊建設工業新聞
2017/12/27

【鳥取】総合評価入札見直し/18年度低入制度全面適用へ

 建設工事の総合評価入札について、県土整備部は2018年度から低入札価格調査制度を拡大し、250万円以上すべての工事に適用する。調査基準価格を予定価格の92%程度、失格基準価格は同じく90%程度に設定。調査基準を下回った応札では、低入調査を厳格に運用し事実上、受注しにくい仕組みに見直す。
 現行の予定価格2億円(建築一般4億円)未満の総合評価は、調査基準と失格基準の価格を同額(予定価格の92%程度)とし実質、最低制限価格と見なしていることが会計検査院から指摘された。改正内容は国からの通知に沿ったもので、同部は現行最低制限価格(失格基準価格)の水準を調査基準に置き換えることで、業界に混乱を招かないよう配慮する。
 見直しでは、調査基準と失格基準の間に幅(予定価格92%〜90%)を設け、調査基準価格を下回れば低入調査を実施する。
 同部は「低入には厳しく対処する」(県土総務課)として、調査基準を下回ると総合評価の採点項目「施工体制」に4点を減点。低入調査に入ったとしても配置技術者の増員(3500万円以上)や開札後2日以内に低入調査資料の提出を求め、厳しくチェックする。
 また、改正に合わせ調査基準価格と失格基準価格の算定式は公表する。ただし、総合評価以外の最低制限価格制度(価格競争)では250万円以上4000万円未満の算定式を非公表。
 従来から低入調査制度の対象だったPCやトンネルなど2億円以上の工事についても同じような考え方を踏襲。JV構成員や下請けに入る県内企業に配慮する。
 低入になれば、総合評価の場合は「施工体制」に4点の減点を課し、価格のみの競争でも低入資料で履行能力を厳格に審査してダンピングを排除する。ただ、調査基準と失格基準は現行の価格基準を維持。それぞれ予定価格の90%程度、同85%程度に設定する。

 これら制度改正は18年度からを予定しているが、入札システムの改修を伴うため4月からの運用は流動的だ。


※写真あり
県建協が実態調査の再実施を求めた県土整備部との会合(=22日、鳥取市内)

実態調査を実施へ
県土整備部

 「実態をよく見てほしい」−。一方、県建設業協会(下本八一郎会長)はこのほど鳥取市内であった県土整備部との懇談で、低入調査制度の改正に異を唱えた。これに対し、同部は「改正しても実質、現状と変わらない」と強調。その上で、18年度からの制度改正と引き換えに実態調査の実施を受け入れた。
 これまで県建協は最低制限価格を予定価格の95%への引き上げを求めてきた経緯があり、改正によって現行の落札率93・7%(8月現在)から下落することを懸念。「雇用や機械保有などに影響し、災害対応も難しくなる」と訴え、調査基準価格を予定価格の94%程度への設定と実態調査の実施を求めた。
 原価実態調査は15年10月に実施しており、16年度からの最低制限価格(予定価格の)92%への引き上げにつながった。
 同部によると「調査は早くても来年度以降になる」(県土総務課)と説明。昨年度から引き上げた最低制限価格付近で受注した工事の完成や各企業の決算を待って調査に入る。具体的な調査内容はこれから協議するが、工事原価や一般管理費の推移のほか、雇用確保の面から聞き取りすることが考えられている。


日刊建設工業新聞