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建設経済新聞社
2017/12/28

【京都】鴨川の中州と寄州の土砂撤去 試行的に撤去範囲を拡大

 京都府は、鴨川の中州と寄州の土砂撤去について、西賀茂橋〜御薗橋で試行的に撤去範囲を拡大する。29年度に実施予定。
 鴨川における治水安全度、景観及び環境にも配慮した中州・寄州管理のあり方については、直近の課題として治水安全度で「流下能力の低い区間で土砂が堆積し、早期の撤去が必要」、景観・環境では「29年4月開催の鴨川茶店の場で景観上好ましくないとの意見が多数」「植物や底生生物は撤去後に一時的に減少することもあるが、回復傾向」などの課題があった。
 そのため西賀茂橋〜御薗橋で試行的に取り組む。同区間は流下能力が低いことから、少なくとも13年度当時の河積を確保するため、試行的に撤去範囲を拡大する。
 中州・寄州の水際保全の範囲は幅50p程度を基本に、高さは20p程度とし、流向方向の長さは10m以下で千鳥配置とする。撤去部分は河床の高さ程度までとする。
 深掘れによる護岸の損傷を防ぐため、護岸付近の寄州は一部(幅2m程度)を残すとともに、護岸基礎が露出している箇所は撤去した土砂を利用して寄州の形状で盛土を実施する。
 土砂が堆積しやすい橋梁の下流や落差工の上流部は全面撤去する。
 撤去後は水生生物や堆積状況等をモニタリングする。
 鴨川の中州・寄州管理のあり方の中長期の検討課題として、治水安全度で「計画流量が安全に流下できる河道断面の設定と土砂動態の解析等により、必要な治水安全度が確保できることを前提に、許容できる堆積土砂の範囲を設定」し、その範囲内で景観は「鴨川景観の歴史・文化等から、あるべき姿を検討」、環境は「植物や生物の生育環境の目指すべき姿を検討」する考え。
 これまでの中州・寄州の堆積土砂撤去は、柊野堰堤〜二条大橋について、▽全体を概ね10年程度のサイクルで計画的に撤去▽環境の激変を避けるため全体の20%ほど残し施工区間を連続させない▽中州・寄州の水際を50p程度保全する−という方法で行い、21〜28年度の8年間で約8万m3の土砂を撤去した。
 中州・寄州が発達し陸地化する傾向がある一方で、護岸付近で深掘れし固定化する箇所があった。また存置した水際の幅や高さが大きく、撤去後すぐに再堆積するなど撤去の効果が少なかった。