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建通新聞社(東京)
2018/01/16

【東京】都入契制度改革 入札監視委と団体が意見交換開始

 東京都の入札契約制度改革をめぐる都入札監視委員会制度部会(部会長、楠茂樹上智大学大学院教授)と建設業界団体との意見交換会が始まった。第1弾となった1月15日は東京都電設協会(牧野光洋会長)が参加し、改革の方向について一定の理解を示す一方、予定価格の事後公表に伴う工事規模の明確化や、1者入札中止の見直し、中小企業を含むJV結成時の加点措置拡大、低入札価格調査制度の最低制限価格制度への見直しなどを要望した。
 協会側はまず、予定価格の事後公表について「入契制度の公正さを確保し、しっかりとした積算を行うことへの要求は業界にとっても好ましい」との観点から、「基本的に維持継続されるべき」との意見を表明した。
 1者入札の中止に関しては、「応札者が増えれば落札率が下がるとの主張には根拠がない」「工事の環境や条件、特殊な施工方法の採用などによって特定の事業者にしか対応できない案件もある」と指摘。再公表手続きによる無駄をなくすため「制度を継続すべきではない」との考えを示した。併せて、1者入札が中止になった場合、「(中止が決まるまでの間)配置予定技術者を(他の案件に配置できず)遊ばせてしまうリスクを抱える。財務局案件についても重複申し込みができるようにしてほしい」と要請した。
 JV結成義務の廃止に関しては、「格付け等級によって意見が分かれる」と前置きした上で、「下位の事業者にはメリットが少なかったため歓迎すべき点が多い」と評価。一方、中小事業者の受注機会の確保と育成の面から「中小事業者を含むJV結成の際の(総合評価方式での)加点を増やすなど、JV入札をしやすい環境を整備する必要もある」とした。
 低入札価格調査制度の適用範囲の拡大では、低入札に該当した場合の失格率が100%となっていることについて「(低価格入札への誘導となっていないことを)結果として評価できる」との考えを示した。ただ、失格割合が100%である現状を踏まえれば「発注者・受注者双方にとって負担の大きい低入札価格調査ではなく、最低制限価格制度として良いのではないか」と提案。併せて大規模案件以外については「中小期的な担い手確保、ダンピング受注防止の観点から最低制限価格制度を基本的に維持・継続すべき」とした。
 これに対し、委員からは「入札参加者が増えれば落札率が下がるという前提から入札契約制度の改革が進められている。これを覆す(協会のまとめた)データは非常に重要だ」「(発注や完成時期を)平準化することで入札参加者が増えるのではないか」といった意見が出た。