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建設新聞社(長崎)
2018/01/22

【佐賀】九州初 マルチビーム無人ボートのみで堆砂測量

佐賀県 竜門ダムで堆砂測量
  ウエスコが佐賀県職員対象に現地説明会小型無人ボートの説明を聞く参加者
 佐賀県は、竜門ダムの堆砂測量をマルチビーム測量無人ボートで実施している。無人ボートのみで行うのは九州では初めてだという。16日には、測量業務を受託した潟Eエスコ九州支社が、県職員らを対象に現地説明会を開いた。
 マルチビームは、川や湖、海などの底面の地形を把握する深浅測量の際に、扇状に複数(256本)の音波を発信し、面的に三次元で計測する技術。従来のマルチビーム機器は、大型で重く、船舶への運搬や取り付けが複雑で費用も高かった。
 今回採用したのは、必要な機材をあらかじめ搭載した小型のラジコンボート(全長168a、全幅81a、重量30`)によるマルチビーム測量。大人二人で持ち運べるため、機動性やコスト面で優位。さらに、計測区域は水深0・5b〜50bで、これまで人力で測量していた浅場水域にも対応できることが大きな特徴だ。
 説明会では、シングルビーム測量との違いにも触れた。シングルビームは1本の音波で線的に測量するため、何往復もの計測が必要で時間がかかるだけでなく、欠測ができやすい。一方マルチビームは、一度に広範囲を測量できるため、計測時間を飛躍的に短縮できるほか、地形を詳細に把握できる。実際に測量した竜門ダムの湖底をディスプレイに表示すると、河川や工事用道路の跡がはっきり確認できる湖底の状況を見て、参加者は「おぉ」と声を上げていた。
 参加者からは、「今回の計測データを、数年後に別の業者が計測したデータに取り込んで比較できるか」や「波や潮位変化にも対応して正確に計測できるか」といった質問が出るなど、関心の高さがうかがわれた。ウエスコの担当者は「ダムだけでなく、河川や港湾、海岸などでいろいろな使い方ができる」と、さまざまな測量に対応可能だと応えた。プロポで操作も体験(湖面の奥がボート)

  調査期間が短く 浅場の人力測量不要
 説明会には、佐賀県のダム管理事務所や唐津土木事務所港湾課の職員が参加。ダム管理事務所の喜多将之管理・情報担当係長は、マルチビーム無人ボートの採用について「従来手法に比べると高価だが、調査期間が短く、浅瀬の人力測量も不要なため」と説明。同手法の普及による一層のコスト低下に期待した。
 マルチビーム無人ボートによる九州での測量は、昨年末に水資源機構の大山ダム(大分県)で行われた。ただこの際は、大水深部は有人、浅場は無人で実施した。ウエスコによると、竜門ダムの規模(総貯水容量・235万立方b)ならば無人ボートのみで十分測量できるという。ksrogo