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建設経済新聞社
2018/01/25

【京都】来年度当初予算案は8519億円台 骨格型も防災、人材に注力

 京都府の山田啓二知事は24日、定例記者会見を開き、来年度当初予算案と今年度2月補正予算案の概要を発表した。
 4月の知事選を控え骨格的予算として編成するも、年度当初から講じる必要のある福祉施策、人手不足対策を中心とした中小企業施策、明治150年関連施策、台風災害からの復旧・復興等は当初予算に計上する。
 来年度当初予算案は前年度比6・9%減の8519億円台。国の補正予算も活用しながら、110億円台の今年度2月補正予算案とともに14ヵ月予算として編成し、合計8629億円台とする。
 建設関連の主なものをみると、障害者サポート強化事業に2億8000万円規模を計上する。新規の医療的ケア児支援強化事業では、市町村の児童発達支援センター設置のための施設整備(調理室等)に対する助成を行う。補助上限は1ヵ所300万円。負担割合は府1/2、市町村1/2。新規の障害者雇用定着環境整備事業では、障害者が働きやすい職場づくりのための施設整備等に対する支援(補助率最大30%)を行う。
 京都企業共同拠点整備事業に国補正予算を活用し、20億円規模を計上する。新規の京都経済センター(仮称)整備事業は、オール京都による人材育成と生産性革命の戦略拠点を整備する。新規のけいはんなロボット技術センター事業は、けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)に自立ロボット等の開発・実証に必要な環境を有した共同利用型技術実証拠点を整備する。官民連携のコンソーシアムを今年度中に立ち上げ、実証拠点・設備を有しない中小企業等の市場参入を促す。
 人材確保では、再就職を目指すシニア世代と人手不足に悩む京都企業とのマッチング機会を創出する「高齢者ジョブ博開催」事業、採用後の定着に向けたフォローアップのため個別カウンセリングを実施する若者就職・定着特別支援事業などに新規に取り組む。就労環境改善のための設備導入等に対する支援、採用・定着支援のためのコンサルタント派遣への支援、経営者向け採用力強化セミナー等を経済団体と連携して実施を行う人材確保・就労改善サポート事業にも新たに着手する。
 文化庁移転準備費には1億1000万円規模を計上。文化庁移転先となる京都府警察本部本館(京都市上京区)の耐震改修の設計及び埋蔵文化財調査を実施する。府市協調のシンポジウムも開催する。
 防災・減災緊急対策事業は345億円規模を計上する。台風災害復旧・復興事業で内水減災として山城及び中丹に排水ポンプ車を配備する(2台→4台)。総合的治水対策強化事業は由良川・桂川の国直轄河川改修、いろは呑龍トンネル整備(シールドトンネル完成)のほか、新規で洪水時特化型水位計を80台配置する(今年度補正で66台、来年度当初予算で14台)。原子力防災対策事業では原発から概ね10q以内の病院等要配慮者施設等(2ヵ所)の放射線防護対策、原子力災害拠点病院に除染室等の整備(京都医療センター)、電源立地地域対策交付金を受け避難路整備(7路線)を実施する。地震防災対策事業では路線指定した緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化(診断、改修等に支援)を図る。社福法人災害時対応推進事業では社会福祉法人による福祉避難所の整備など要配慮者への取組を支援する。
 生活基盤等緊急整備事業に111億円規模を計上する。道路・港湾施設では舞鶴福知山線、国道423号(法貴バイパス)、京都舞鶴港国際ふ頭CFS新設等を整備。鉄道施設はJR奈良線第二期事業に係る本体事業及び関連事業(玉水駅、六地蔵駅)の実施、北陸新幹線の課題調査の深度化等、バリアフリー等(JR黄檗駅、桃山駅、山崎駅、京都駅、西大路駅、近鉄伊勢田駅、阪急・京福西院駅)を進める。農林水産施設は京都市中央卸売市場第一市場(水産棟)及び第二市場、ライスセンター(南丹市)、木材処理加工施設(京都市)等の整備を進める。このほか、グループホームの創設、スプリンクラー等安全設備の整備助成、府立盲学校と丹波支援学校における空調改修等を実施する。
 スポーツ基盤等整備事業は59億円規模を計上する。亀岡市の専用球技場(京都スタジアム)は2020年春、宇治市の山城総合運動公園における民間活力を導入したアイススケート場は2019年春、京丹波町の丹波自然運動公園における車いす専用練習コースは2018年秋のオープンを目指し整備を進める。ワールドマスターズゲームズ2021関西大会等に向けたスポーツ観光拠点整備への支援、府立植物園と京都学・歴彩館をつなぐ「北山文化環境ゾーン広場・プロムナード」の整備も行う。
 米政策の見直しを踏まえ、米生産低コスト化緊急対策事業を新規事業化。農業用施設の予防的修繕などの低コスト化を支援する。補助率は1/4以内。
 教育関係ではチャレンジサポート校整備事業として、峰山高校弥栄分校校地に自分のペースで自立性・主体性を身につけることができ、一人ひとりのチャレンジに対しサポートする高校を新設する。2018年度に設計、2019年度に建設工事、2020年度に開校を目指す。
 条例関係では、京都府住宅宿泊事業(民泊)の適切な実施の確保等に関する条例、京都府森林水源地域の保全等に関する条例、京都府母校応援ふるさと寄付基金条例案などを提出する。
 民泊条例では、全国初の取組として事業者に対する独自の義務(宿泊者名簿の必須記載事項に前泊地、後泊地等を追加)と優良な民泊の認証制度を規定する。水源条例では、区域を指定して土地取引等に関する事前届出のみならず、一定規模を超える取水者に知事の許可を受けることを義務付ける全国初の取組を行う。母校応援ふるさと寄付基金条例案では、ふるさと納税制度を活用し、府立学校の施設・設備、教育環境の整備を図る。
 行財政改革として、人件費の減(特別職及び管理職の給与カット等)マイナス20億円、府民ニーズに即した事業の見直しマイナス66億円、未利用地の売却等歳入確保の取組15億円の計101億円に取り組む。
 今後の財政運営資金の確保として財政調整基金積立金に25億円を充てる。