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建設新聞社(長崎)
2018/02/14

【長崎】流域を守るダムの役割 規模の大小に関係なし

壱岐の勝本ダムと男女岳ダム 日本ダムアワード洪水調節賞受賞
  自然調節ダムとして史上初の受賞

 壱岐の勝本ダムと男女岳ダムが、日本ダムアワード2017の洪水調節賞を受賞し、10日に壱岐市芦部町の男女岳ダム管理事務所で授賞式が行われた。同アワードの受賞は県内ダムとして初めて。
 日本ダムアワードは、1年間のダムの活躍を振り返って、印象に残る働きをしたダムを一般のダムファンの投票で部門ごとに表彰。ダムの関係者・事業者の意向や利害に左右されずに功績を称え、広く一般にダムの役割や効果をわかりやすく周知することを目的に実施。今回で6回目となる。
 勝本ダムと男女岳ダムは、昨年7月の50年に1度の記録的な大雨≠フ際に洪水を貯めこみ、流出が早い下流の谷江川の水位上昇を大幅に遅らせた。両ダムとも非常に小さなダムで、特に男女岳ダムは、流域面積が全国で4番目に小さい。ダムアワードのノミネート選考会場に集まった170名のダムファンでさえ、両ダムの名前を知っていたのは2名しかいなかったという。ただ、その後のプレゼンテーションを通し両ダムの活躍を知ったファンからは「感動した」などの意見が相次ぎ、全国からノミネートされた五つのダムの中から最多51票を獲得し、洪水調節賞を受賞した。
 ダムアワードの選考委員会を代表して出席したダム愛好家の星野夕陽さん(日本ダム協会任命マイスター)は、授賞式で「昨年の九州北部豪雨では、被害が大きかった福岡県朝倉市の報道ばかりで、ほかの地域でどんなことが起こっていたのか知らない人がほとんど。しかし、流域を守る役割は地域やダムの大小に係らずまったく変わらないことをこの結果が示している」と指摘。「これこそダムアワードの意義であり、ダムアワードだからこその結果」と話した。星野氏から盾を受け取る小嶋さん(左)
 受賞者を代表してあいさつした県壱岐振興局建設部の茶谷誠一郎課長は「今回の受賞はダムに携わる人間にとって喜ばしく励みになる。今後も異常気象による豪雨が予想される。ダムを適切に維持管理・運用し、安全・安心なまちづくりに努めたい」と、ダム管理者として改めて決意を示した。
 同アワードの受賞は県内のダムとして初であるとともに、洪水をゲートではなく洪水吐で自然調節するダムとしては史上初の受賞になるという。記念の盾は、両ダムの管理を実際に担当している小嶋孝義さんが受け取った(写真)。ksrogo