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建通新聞社(中部)
2018/02/16

【愛知】東山線新駅 民間資金活用での建設も視野に 名古屋市

 名古屋市住宅都市局は、地下鉄東山線名古屋駅と伏見駅の間で建設を模索している新駅について、民間資金の活用を視野に入れた事業スキームを検討する。駅の設置と周辺開発をリンクさせ、相乗効果を発揮させたい考えだ。2017年度には既に事例収集を行っており、都営地下鉄虎ノ門新駅の建設などが念頭にあると見られる。この事業では、新駅建設の費用負担といった民間事業者の「公共貢献」に応じて、周辺開発の容積率を緩和する都市計画上の手法が活用された。
 局は18年度当初予算案に、新駅の可能性を検討するための費用を計上。合わせて、新駅設置の要望が出ている名駅四丁目の周辺地区を対象に、民間主体での開発に向けた検討を行う。この他、名古屋駅周辺の歴史ある景観などさまざまな地域資源を生かすため、回遊性を高めるような交通手段も考える。一連の検討作業に1500万円の費用を充てるとしている。
 名古屋市会では近年、東山線の建設時に名古屋駅〜伏見駅間で構想された柳橋駅について、あらためて新設を求める声が出ていた。局はこれに対し、民間再開発と一体で検討する姿勢を当初から強調。既に17年度には民間事業者へのヒアリングを行っており、並行して先行する開発事例を調査していた。虎ノ門新駅の建設では、周辺での再開発を担う事業者が一定の費用を負担する一方で、開発に伴って容積率が緩和された。こうした事業者負担などの公共貢献や、国庫補助など、さまざまなスキームを活用した駅整備の実現性を考えていく。
 かつて柳橋駅が構想されたのは、江川線のすぐ西側付近。
 18年度当初予算案では、地下鉄新駅設置実現可能性検討として、駅のレイアウトや工事工法、概算整備費、整備期間などの検討に向けた費用を計上。こうした想定を基に、新駅設置の可否を探る。
 関連して、名古屋駅東側の名駅四丁目周辺地区を対象に、開発の方向性を検討する。同地区には市が重要な地域資源と位置付ける大規模な民間市場があり、観光のポテンシャルが高い。一方で老朽化した建物も多く、土地活用の余地が大きい状態となっている。市は18年度、民間主体での開発を促すとともに、地権者の意向を踏まえて開発の方向性を検討する。
 同地区では1月、東和不動産(名古屋市中村区)が柳橋食品ビル(中村区名駅4ノ1401)を取得。今後のまちづくりの動向が注目されている。
 18年度予算案ではこの他、名古屋駅周辺の地域資源を生かすための交通手段を検討するとしている。「資源」に挙げたのは柳橋市場界隈のほか、納屋橋・堀川、四間道、円頓寺商店街など。付近では既に、新たなタイヤベースの新交通システムの導入を計画している他、堀川で観光舟運の拡充も検討中。市は各地区のまちづくり方針を整理し、地区間をつなぐ交通の在り方や、回遊性の向上策を考える。

提供:建通新聞社