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北海道建設新聞社
2018/02/19

【北海道】約35年ぶりの大規模修理 函館区公会堂がリニューアルへ

 函館市は、重要文化財旧函館区公会堂の保存修理に取り掛かる。22日開会予定の第1回定例市議会に提出する2017年度一般会計補正予算案で、4カ年で総額7億円余りの継続費を設定するほか、実施設計費も計上した。設計は可決後速やかに発注し、工事は9月議会での契約承認を見据え7月ごろ公告する。耐震補強と保存修理がメインで、設備改修や展示製作を含む総事業費は約9億5000万円と試算。工期は2年半で、リニューアルオープンは21年度前半を見込む。
 公会堂は1910(明治43)年、函館大火で焼失した町会所に代わる施設として元町11の13に建設された。本館がW造、2階、延べ1761m²、付属棟がW造、平屋、延べ139m²の規模で、本館は左右対称のコロニアル様式となっている。
 11年度に保存修理調査と設備の現況調査、14年度に耐震診断を実施し、想定される工事内容を把握。16年度に保存活用計画をまとめ、基本設計を文化財建造物保存技術協会で進めてきた。
 補正予算案では、総額7億835万1000円に上る4カ年の継続費を組む。年割り額は17年度が353万円、18年度が7610万8000円、19年度が2億6210万円、20年度が3億6661万3000円という内訳。今補正での計上額は実施設計費1652万4000円を含む計2005万4000円となっている。
 修理は石段の据え直しや東西バルコニーの復旧、外壁や腰板の補修、しっくい、木部のペイント、壁紙・建具の補修など多岐に及ぶ。耐震化は本館でコンクリート基礎設置や既存れんが基礎との一体化、2階床下の一部と小屋裏への水平ブレース設置を計画。壁内に構造用合板を入れ、接合部も補強する。付属棟では壁内と接合部の補強を実施する見通し。
 このほか、建物の状態を見極めながら拡声器、自動火災報知器、ロードヒーティング、屋内外の給排水、消火、給油・換気などの設備類を更新。展示物の製作も進め、建物にスポットを当てつつ既存展示を見直す。
 工事期間中は閉館となるが、外観が見えるよう透明な仮囲いの使用や、定期的な見学会開催を予定する。約35年ぶりとなる大規模な修理工事の様子は映像で記録し、後世に残す。