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建設新聞社
2018/03/06

【東北・宮城】日本一は工学院大の渡辺顕人さん/せんだいデザインリーグ2018卒業設計日本一決定戦

  全国で建築を学ぶ学生の卒業設計を一堂に集め、公開審査で日本一を選出する「せんだいデザインリーグ2018卒業設計日本一決定戦」がことしも仙台市で開かれた。4日にせんだいメディアテークで行った公開最終審査では、エントリーした全国80校・455作品の中から工学院大学建築学部建築デザイン学科・渡辺顕人さんの「architecture to life」が日本一に決まった。
  せんだいデザインリーグは、仙台の大学を中心に建築を学ぶ有志の学生団体・仙台建築都市学生会議が2003年から毎年開催している。これまでは、大会テーマを設定し、日本一を目指して作品を制作してきた。本年度は新たな試みとして、多様な種類、条件、意匠の作品がぶつかり合い、議論をより大きく広げるため、テーマを定めずに実施。参加者各自で課題を設定し、作品づくりに挑んだ。
 ことしは全国の大学・専門学校80校から455作品がエントリーした。予選で選出された上位100作品がセミファイナルに進み、さらにその中から10作品に絞った上で、4日に仙台市のせんだいメディアテークで公開最終審査を実施。制作者の学生10人が、各々の作品についてプレゼンテーションしたほか、審査員の質疑に応じた。
 審査委員長は青木淳氏(青木淳建築設計事務所)、審査員は赤松佳珠子氏(シーラカンスアンドアソシエイツパートナー)、磯達雄氏(フリックスタジオ)、五十嵐淳氏(五十嵐淳建築設計事務所)、門脇耕三氏(アソシエイツ・パートナー)、辻琢磨氏(403architecture[dajiba])、中田千彦氏(宮城大学教授)などが務めた。また、建設新聞社などが後援した。
 日本一に輝いた「architecture to life」は、建築を周囲の環境音に合わせて動かし、自然環境そのもののように移ろう建物を設計した。建物正面のパネルが重なり合う位置のうち、10カ所をモーターで押し出し曲面を形成。曲面の動きは、周囲の音により、周期、高さが無秩序に変動する。動く建築という大胆な設定や、自然を意識しつつ、デジタルデザインを押し出した作品イメージが評価された。
 第2位には高橋万里江さん(東京都市大学)の「建物語―物語の空間化―」、第3位には谷繁玲央さん(東京大学)の「住宅構法の詩学 ―The poetics of Construction for industrialized houses made in 1970’s―」が選ばれたほか、特別賞に柳沼明日香さん(日本大学)の「モヤイの航海―塩から始まる島の未来―」、平井未央さん(日本女子大学)の「縁の下のまち―基礎から導く私有公用―」がそれぞれ決定した。
 審査では「近年は設計に物語を込める作品が多かったが、ことしは構法、収まり、ディテールにこだわった作品が多い」「建物のプログラムや敷地を前提としない自由な提案がことしのはやりと感じた」といった意見が上がった。
 全体講評では、青木審査委員長が「審査は決まった基準が無い上、評価軸も審査員によって異なるため、作品に順位付けしていくことが難しかった。受賞された皆さんをはじめ、エントリーした皆さんの作品それぞれに良い提案が詰まっていると捉えてほしい」と参加者をねぎらった。
 出展作品はせんだいメディアテークで11日まで公開している。

 提供:建設新聞社