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建通新聞社(神奈川)
2018/03/12

【神奈川】県住建て替えの平準化を 年間900戸想定

 神奈川県県土整備局は、県営住宅建て替えの平準化に向けた検討を進めている。一定期間への集中を避け、財政や業務の負担を軽減するのが目的。建て替え時期を50〜70年(現行50年)とした場合、年間当たりの建て替え戸数900戸程度、想定事業費約180億円とすることを見込んでいる。平準化の期間は2020年からの約30年間とし、1980年以前に建設された76団地・約2万8000戸を建て替え検討の対象とする方向。事業の実施に当たってはPFI方式や、余剰地売却資金の活用など、さまざまな民間活力の導入も視野に入れる。
 18年度の改定を見込む「神奈川県県営住宅ストック総合活用計画」を検討する有識者会議(神奈川県住宅政策懇話会)で示されたもの。
 県土整備局は今後の県営住宅戸数について、当面の間、現在戸数(約4万5000戸)の維持が必要とみている。人口減少が進むものの、住宅セーフティネットの中核となる県営住宅の需要は高いと予測するためだ。今後の整備は、この見方に基づいて進められることになりそうだ。
 現行の県営住宅ストック総合活用計画(13年度改定)では、建設後約50年が経過する住宅を建て替え対象としているが、今後10年間にこれを当てはめた場合、一定期間に建て替えが集中するという。ピーク時には年間で3671戸、想定事業費約734億円にも上ると推計している。
 このため、建て替え時期を50〜70年として平準化することで、年間の戸数、事業費を抑制する。戸数は約900戸、事業費は約180億円になる。
 また、整備区分を現行区分の6区分(建て替え、個別改善、設備改善、維持保全、集約化、用途廃止)を、建て替えに伴う集約化・用途廃止を含む「建て替え」(1980年頃以前の約2万8000戸)、設備改善・事業中の個別改善を含む「適切な維持保全」(81年頃以降の約1万7000戸)とする考えも示した。
 建て替えの手法については、財政負担の軽減・平準化と、公共施設の最適配置を実現するため、民活導入などを積極的に検討する方向。県直営建設方式とともに、PFI方式、買取り方式、余剰地売却資金活用方式などがその選択肢。
 維持管理・運営は一括して指定管理者に委託しているため、民間事業者が設計・建設のみ行うBT方式のPFI導入を検討していく予定。
 余剰地の活用に当たっては、市町村のまちづくりとの連携を確認。高齢者施設や子育て支援施設など福祉施設の併設、他の公的賃貸住宅とのソーシャルミックスを模索する。
 ストック総合活用計画の改定は、こうした方向性を踏まえて有識者会議や庁内での検討が進んでいる。現時点では、18年度前半に素案作成やパブリックコメント、議会報告などを予定。10月頃の計画改定が見込まれている。

提供:建通新聞社