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北陸工業新聞社
2018/03/12

【石川】第2滑走路新設と空港ビル建て替え/小松空港の機能強化求める/自衛隊機のスクランブルが急増/LCCの対応など課題に 

 「防衛省幹部によれば民間航空(発着枠)の余裕は限界に近づきありつつある。第2滑走路を新年度の国への重点要望事項に入れるべきだ」―。県議会の最大会派、自民党の重鎮である福村章議員(小松市選挙区)は、先月13日開かれた県議会予算委員会において谷本正憲知事にこう詰め寄った。
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 小松空港は、自衛隊基地と民間の供用飛行場で、1961(昭和36)年の開港以来、着実に利用者数を増やし、81(昭和56)年に国内線年間旅客者100万人を、94(平成6)年には同200万人を達成し、02(平成14)年には国内、国際線合わせ270万人を超えた。15(平成27)年の北陸新幹線金沢開業の影響により羽田便の利用者数は落ち込んだものの、今なお、空の玄関口として県民はもとより福井県北部の住民のニーズは高い。
 他方、日本海側対岸諸国の軍事的脅威により小松基地所属の自衛隊機のスクランブル発進件数が急増。平成当初は年600回程度だったが、16(平成28)年には1068回を数えた。
 この日の委員会で福村氏は、自衛隊側から「民間航空が優先され、自由に使えない」、民間航空会社からは「就航許可に時間がかかる」「飛行時間、チャーター便に制約がある」との不満の声があることを紹介し、自衛隊と民航が共存できるよう隣接地における第2滑走路の必要性を訴えた。
 これに対して谷本正憲知事は「防衛省や国交省からの情報が手元に入っていないので、(発着枠に)どれだけの余裕があるか分からない。しっかりと確認をしていきたい」と、まずは現状を把握するための情報収集に努める考えを示した。
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 「継ぎ足し増築で使い勝手が悪い」「観光案内所がない」「台湾便が重なれば待合室がごった返す」「LCC(格安航空会社)のボーディングブリッジも増設できない」「新規就航会社の航空事務所もままならない」―。この日、福村議員は、老朽化した小松空港ターミナルビルについても建て替えを求めた。
 ターミナルビルは、国内線が81(昭和56)年完成の延べ1万5438平方メートル、国際線が84(昭和59)年完成の延べ4954平方メートル。これに税関が付随している。建物は県や小松市、航空会社らが出資する「北陸エアターミナルビル株式会社」が保有しており、うち県の出資比率が30%。
 予算委員会で福村氏は、ターミナルビルの不備を指摘した上で、建て替えの際には「能登空港と同様に県税事務所(小松合同庁舎)や土木事務所(南加賀土木総合事務所)などの行政庁舎を集積すべきだ」と提案。
 これに対して谷本知事は、「北陸エアターミナルビルの関係者に改築すべき段階にきているか、よくよく話を聞く必要がある」、「第一義的には同社は株式会社であり、自ら判断していただくことになる」と述べるにとどめる一方で、出先機関を合築することについては「一つの選択肢として考えておいてもいいのではないか」と含みを持たせた。
 ターミナルビルを巡っては北陸新幹線金沢開業(15年3月)に合わせ空港屋上展望デッキとスカイラウンジをリニューアルしており、ここ数年での建て替えは現実的ではないと見られるが、小松合同庁舎は71(昭和46)年築(RC造3階建て延べ2264平方メートル)、南加賀土木総合事務所は81(昭和56)年築(RC造2階建て延べ1109平方メートル)と、いずれも老朽化が進んでいることから中期的な重要課題になる可能性はありそうだ。

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