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福島建設工業新聞社
2018/03/23

【福島】再エネ由来水素プロジェクト/7月にも建屋着工

 浪江町の棚塩・請戸地区に整備する「再生可能エネルギー由来水素プロジェクト」は、4月から敷地内の電線路(自営線)整備に入り、7月にも建屋建設工事などに着工する見通しとなった。来年10月からシステムの試験・試運転を行い、東京オリンピック・パラリンピックが開催される32年7月の本格運用・輸送開始を目指す。
 福島イノベーション・コースト構想に位置付けられたエネルギー分野の取り組みを加速し、本県を未来の新エネ社会創出モデル拠点とする「福島新エネ社会構想」の一環。同プロジェクトでは、エネルギー貯蔵手段としての水素に着目し、再生可能エネルギーから水素を製造する技術の開発・実証を行う。
 事業は経済産業省資源エネルギー庁の補助で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から採択を受けた東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業の3者が実施する。同地区に太陽光と風力の再生可能エネルギーを用いた世界最大級(1万`h級)の水素製造施設を整備し、貯蔵・輸送技術と組み合わせて水素を有効活用する「福島モデル」を構築する。
 水素の年間製造能力は900d。1時間当たりの水素製造量は約1200N(ノルマル)立方b規模とする※1N立方b=標準状態(0℃、1気圧)に換算した1立方bのガス量。
 1日の水素製造量は、一般家庭の消費電力量としては約150世帯分、燃料電池車の燃料としては約560台分に相当する。
 整備施設は管理棟(制御システム)、水電解装置、水素貯蔵・供給設備、太陽光発電設備、受変電設備、ユーティリティ(UTT)設備・消火設備など=イメージ図。
 土地造成工事は浪江町がUR都市再生機構に委託して進めており、事業用地は6月末から段階的に引き渡しされる予定となっている。
 工事は自営線整備から開始。4月以降着工し、来年8月の受電開始を予定する。
 建屋建築工事、UTT設備等工事は土地引き渡し後、7月以降着工する。水素システム、太陽光発電設備などにも順次着手し、来年9月までの完成を目指す。
 システムの試験・試運転は同10月から行う見通し。32年3月には再エネ電源設置を完了させ、実証仕様での試験・試運転を開始する。同7月に水素製造システムを竣工させ、本格的な実証と水素の輸送を始める。同7月24日に開会式を迎える東京オリンピックでの活用が見込まれている。